グリッドは「まっすぐの線だけ通す板」。図で見て、国試の1問を解いてみる
グリッドの問題、苦手な人が多いところです。
グリッド比、露出係数、選択度、コントラスト改善比。似た名前の式がずらっと並んでいて、どれが何を何で割るのか、覚えたはずなのに本番で混ざる。参考書を開くと、箔の高さだの透過率だの、記号がどんどん増えていく。
正直に言うと、私も国試は、ほとんど暗記で乗り切りました。
でも、グリッドがやっていることは、じつはひとつだけです。そこさえ見えれば、式は「覚えるもの」から「その場で出せるもの」に変わります。
見るのは、2本の線だけ
X線がからだに入ると、一部は中で向きを変えて、斜めに飛び出します。これが散乱線です。
散乱線は、写したい場所と関係ない所に届いて、写真全体をうっすら黒くします。白と黒の差がぼやける。だから止めたい。
グリッドは、鉛の薄い板(箔)を、すだれのように並べたものです。下の図を見てください。
- 焦点からまっすぐ来た線(一次線)は、箔と同じ向きに進むので、すき間をすっと抜けます。
- からだの中で斜めになった線(散乱線)は、すき間を抜ける前に箔にぶつかって止まります。
グリッドがやっているのは、これだけです。まっすぐの線は通して、斜めの線は止める。
ただし、まっすぐの線も少しだけ削られる
ここがもうひとつの大事なところです。
箔には厚みがあるので、まっすぐ来た線も、箔の真上に来たぶんは止まってしまいます。つまり、グリッドを入れると、検出器に届く線は全体として少し減る。
届く量が減れば、写すのに足りなくなります。だから、そのぶん線量を増やして元に戻します。
線量を増やすぶん、グリッドを使うと被ばくは少し増えます。「グリッドで被ばくが減る」は逆なので気をつけてください。
どれだけ増やすか。ここは、実際に動かしてみるのがいちばん早いです。
動かして確かめる
グリッドの分、線が削られて、画像にするのに必要な量まで届いていません。つまみを上げてみてください。
グリッドの分、画像にするのに必要な量まで届かなくなる。だから、グリッドを使うときは線量を上げる。
では、このグリッドなら、グリッドがないときの何倍に上げればいいか。その倍率が露出係数です。
高いグリッドほど、散乱線はよく減ってくっきりします。そのかわり、削られる線も多くなるので、上げる倍率(露出係数)も大きくなります。
ここで大事なのは、足りるかどうかは、一次線と散乱線を合わせた全体で決まるということ。検出器は、2つを区別せずに受け取っているからです。
これで、グリッドの考え方はおしまいです。
- まっすぐの線は通して、斜めの線は止める
- 必要な量まで届かなくなるぶん線量を上げる。グリッドがないときの何倍に上げるかが、露出係数
この2つを頭に置いて、下の1問を解いてみてください。
ここまでの考え方で、実際に国試に出た1問を解いてみてください。
① 解く(第77回 午後 問77)
散乱線除去グリッドで正しいのはどれか。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp