就活と国試が重なってしんどい人へ

周りは内定、自分は就活も国試も終わっていない。放射線技師の最終学年はしんどい時期です。国試の後でも就職は決まること、そして元・診療放射線技師の筆者が就職してから知った「病院で、できることが決まる」話を書きます。

周りが決まっていく時期

周りが少しずつ内定していく。 自分はまだ病院を探していて、国試の勉強も終わっていない。

「このままで大丈夫なのかな」と、夜に検索してしまう。 最終学年は、就活と卒業研究と国試が全部重なる時期です。しんどくて当たり前です。

この記事では、元・診療放射線技師の私が、

  • 就活の時期について、先に知っておくと少し楽になる事実
  • 就職してから知って、「先に知っていれば」と思ったこと

を書きます。

国試の後でも、就職は決まる

まず事実をひとつ。

国試の後に就活をする人は、ちゃんといます。 国試の後に募集を出す病院もあります。

理由のひとつは、内定した人が国試に落ちて、枠が空くことがあるからです。 知恵袋でも、採用側の技師の方が「国試後の合格確定者の応募は…めっちゃ嬉しいです」と答えていました(出典)。

逆に言うと、内定があっても、国試に落ちたら就職はできません。

だから、いちばん避けたいのは 「就活の焦りで、国試の勉強が手につかなくなること」です。

私が就職してから知ったこと

ここからは、私の話です。

私は学生のころ、ネットで「放射線技師とは」を調べて、なんとなく仕事のイメージを持っていました。 でも実際に働いてみると、その多くは的外れでした。

いちばん「先に知っていれば」と思ったのは、これです。

病院によって、技師としてできることが決まる。

同じ新人技師でも、装置がたくさんある病院と、一般撮影の装置が1台の病院では、できることが変わる

技師は、医師の指示で検査をする仕事

診療放射線技師は、医師の指示を受けて、装置を動かして検査をする仕事です。

なので、

  • その病院に、どんな装置があるか
  • どんな検査を、どれくらいやっているか
  • 先生がどういう方針か

で、やれることも、身につくスキルも変わります。

認定資格も、病院しだい

技師になった後にも、CT や放射線治療などの「認定資格」があります。 私は就職したら、これを頑張って取るつもりでした。

でも就職してから調べてみると、多くの認定資格は、その分野で何年働いたか、何件やったかが受験の条件でした。

認定資格受験の条件(一部)
放射線治療専門放射線技師放射線治療の業務を通算5年以上
X線CT認定技師診療業務5年以上、うちCTの業務が通算3年以上
救急撮影認定技師診療経験5年以上、救急の業務が通算3年以上
胃がん検診専門技師過去3年間に胃のX線検査900例以上

(出典:インナービジョン 認定制度データベース、日本放射線治療専門放射線技師認定機構。最新の条件は各団体の公式ページで確かめてください)

つまり、病院にその装置や検査がなければ、条件を満たせません。

私の勤め先では、取りたかった資格の条件を満たせませんでした。 スキルを上げたいから資格を取りたい。でも、今の病院では資格が取れない。 資格がないと、転職でアピールできるものも増えない。

こういう行き止まりがあることを、学生のときの私は知りませんでした。

給料も、病院でほぼ決まる

もうひとつ。 私の実感では、技師の給料は、本人のやる気よりも病院で決まります。 多くの病院は年功序列で、年数とともに少しずつ上がっていきます。

これは悪い話ではなくて、選ぶときに見るところがはっきりしているということです。

ちなみに求人票の「昇給あり」は、だいたいどの病院にも書いてあります。 見るのは「いくら上がるか」のほうです。

病院選びで見るところと、調べ方

入ってみないとわからないことは、もちろんあります。 でも、事前にわかることも意外と多いです。

病院のホームページを並べて見比べると、どこも同じに見えてくる

見るところ

  1. どの装置で、どんな検査を、どれくらいやっているか 将来やりたい分野(CT、MRI、治療、核医学など)があるなら、その経験が積める病院か。
  2. 認定資格を持っている技師がいるか いるなら、その病院で条件を満たせた人がいるということです。
  3. 給料の上がり方 初任給だけでなく、何年目でどれくらいになるか。

調べ方

  • 病院のホームページ:放射線科のページに、装置の一覧や検査件数、在籍する認定技師を載せている病院があります。
  • 実習先や先輩に聞く:実習で見た病院の雰囲気は、いちばん確かな情報です。卒業した先輩がいれば聞いてみてください。
  • SNS:技師の方が、職場や働き方について書いていることがあります。
  • 面接で聞く:「入職したら、何年目にどの検査を担当しますか」「認定資格を取っている先輩はいますか」。聞くのは失礼ではありません。「何か質問はありますか」に「特にありません」と返すより、ずっと印象に残ります。

全部そろわなくて大丈夫です。 聞くことを決めておくだけで、選び方が変わります。

国試の勉強も、現場につながっている

最後に、もうひとつだけ。

私は国試の勉強で、暗記に走りました。 受かりはしたけれど、現場に出てから困りました。

画像を見て、なぜこの条件なのか、なぜこのポジショニングなのかがわからない。 本当は、学生のうちに原理と結びつけて理解しておけばよかったと思っています。

決まった条件で、決まった位置に合わせて、ボタンを押す。 それだけでも仕事は回ります。 でも、なぜそうするかがわかっていると、いつもと違う患者さんが来たときに、自分で考えられます。

国試の勉強は、就活と比べて遠回りに見えるかもしれません。 でも、現場で自分を助けてくれるのは、たぶんこっちです。

おわりに

周りと比べて焦るのは、あなただけではありません。

今は、国試を優先して大丈夫です。 病院を調べるのは、1日1件、ホームページを見るところからで十分です。 一気に10件見ると、どの病院も「最新の装置を導入」と書いてあって、かえってわからなくなるので。

この記事を書いた人

田爪 大智

元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。

第一種放射線取扱主任者。

1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。

放射線技師の国試対策アプリを一人で開発中。

診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp

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