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空洞理論は「空気で測って、水に直す」。国試で問われる3つを、動画と過去問で押さえる

電離箱で測れるのは空気の線量。それを水の線量に直すのが空洞理論です。掛けるのが質量衝突阻止能の比である理由、空洞が小さいという条件、水ファントムで体の中の線量がわかる理由。診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。

まず1分、中で起きていることを見てください。そのあと、同じ原理で国試の1問を解きます。

① 見る(1分)

合格ラボのロードマップ「空洞理論は阻止能比で換算」の動画そのものです。

② 解く(第74回 午後 問79)

水吸収線量計測で電離箱中の気体の吸収線量に乗じるパラメータはどれか。

ブラッグ・グレイの空洞理論。条件がいくつも並んでいて、阻止能の比なのか、質量エネルギー吸収係数の比なのか、毎回迷う。そういう人は多いです。

でも大丈夫です。空洞理論がしたいことは1つだけ。「空気で測った線量を、水の線量に直す」。ここから考えると、条件も比の中身も、自然に決まります。

この記事の答えは3つです。

  1. 測れるのは空気の線量なので、比を掛けて水の線量に直す
  2. 掛けるのは、水と空気の質量衝突阻止能の比
  3. それが言えるのは、空洞が小さいときだけ

1. 測れるのは空気の線量なので、比を掛けて水の線量に直す

知りたいのは、水(体)の中の線量です。でも、電離箱の中は空気。直接わかるのは、空洞の空気の線量だけです。

そこで、空気と水の違いを比で表して、空気の線量に掛ければ、水の線量に換算できます。第76回 午前 問79 の正解の式「Dair・((Scol/ρ)w/(Scol/ρ)air)」は、この形そのものです。

2. 掛けるのは、質量衝突阻止能の比

空洞が小さいと、水の中で生まれた同じ電子が、まわりの水も、空気の空洞も、そのまま通り抜けていきます。電子の流れは同じ。違うのは、同じ重さあたりに、通りながら置いていく量だけです。これが質量衝突阻止能です。

だから掛けるのは、水と空気の質量衝突阻止能の比。上の過去問(第74回 午後 問79)の正解もこれでした。

3. それが言えるのは、空洞が小さいときだけ

空洞を大きくすると、電子は空洞の空気の中で生まれて、その中で止まります。水から来た電子ではないので、阻止能の比ではなく、質量エネルギー吸収係数(μen/ρ)の比で直すことになります。

過去問は、この条件をよく問います。

過去問正解どう読むか
第73回 午後 問83入射光子は空洞内で相互作用を生じないこと空洞の中の電子は、外の水で生まれたもの
第78回 午前 問69(誤っているもの)空気と物質の吸収線量の比は質量エネルギー吸収係数の比に等しいそれは大きな空洞の話。小さな空洞では阻止能の比

体はほとんど水です。だから治療の前に、水の箱に小さな電離箱を沈めて測れば、体の中に置かれる線量がわかります。

よくある取り違え

  • 「μen/ρ の比を掛ける」:小さな空洞では、阻止能の比です。μen/ρ の比は、空洞が大きいとき。
  • 「空洞は二次電子の飛程より大きい」:逆です。小さいことが条件です。
  • 「空洞が電子の流れを変える」:変えないことが条件です。

今夜やること

寝る前に、何も見ずに「空気で測って、阻止能の比を掛けて、水の線量に戻す」と言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、2章だけ読み直す。今日はそれでおしまいです。

電離箱の読みそのものが、その日の温度や気圧でずれる話は電離箱の温度気圧補正の記事にあります。

この記事を書いた人

田爪 大智

元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。

第一種放射線取扱主任者。

1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。

放射線技師の国試対策アプリを一人で開発中。

診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp

第74回〜第78回の過去問を見る(登録なし)

合格ラボ利用者の声

「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん

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