← 一覧にもどる

電子は「走ってから置く」。電子平衡とビルドアップで国試に問われる3つを、動画と過去問で押さえる

光子に渡された電子は、前へ走ってからエネルギーを置きます。だから表面では置かれる分が少なく、奥で増え(ビルドアップ)、出入りが釣り合う深さ(電子平衡)から吸収線量と衝突カーマが等しくなります。ビルドアップキャップの理由まで、診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。

まず1分、中で起きていることを見てください。そのあと、同じ原理で国試の1問を解きます。

① 見る(1分)

合格ラボのロードマップ「電子平衡とビルドアップ」の動画そのものです。

② 解く(第75回 午後 問82)

荷電粒子平衡で正しいのはどれか。

カーマと吸収線量、どっちが大きいのか。電子平衡、荷電粒子平衡、ビルドアップ。言葉が多くて、図の問題になると頭の中で絵が浮かばない。そういう人は多いです。

でも大丈夫です。「光子に渡された電子は、その場では止まらず、前へ走りながら置いていく」。この1つの絵から、全部つながります。

この記事の答えは3つです。

  1. 表面では、置かれる分が渡した分より少なく、奥へ行くほど増える(ビルドアップ)
  2. 入る電子と出る電子が釣り合う深さ(電子平衡)から先で、置かれた分と渡した分が同じになる
  3. だから測定器には、電子が走りきる厚さのキャップをかぶせる

1. 表面では少なく、奥へ行くほど増える

光子がその場で電子に渡した分がカーマ、その場に置かれた分が吸収線量です。

光子に渡された電子は、その場では止まりません。前へ走りながら、少しずつエネルギーを置いていきます。体の表面には、手前から走ってくる電子がいません。だから表面では、置かれる分が渡した分より少なくなります。奥では、手前で生まれた電子が走ってきて足していくので、深くなるほど増えていきます。これがビルドアップです。

2. 出入りが釣り合う深さから、同じになる

電子が走りきる深さまで来ると、そこへ入ってくる電子と、出ていく電子が釣り合います。これが電子平衡(荷電粒子平衡)です。ここから先では、置かれた分(吸収線量)と渡した分(衝突カーマ)が同じになります。

上の過去問(第75回 午後 問82)の正解「ビルドアップ領域とは荷電粒子平衡が成立するまでの深さである」は、このことです。第74回 午後 問82 の正解「(二次電子平衡では)吸収線量は衝突カーマに等しい」も、同じ絵で読めます。

光子のエネルギーを高くすると、電子はもっと遠くまで走ります。だから、同じになる深さも奥へずれます。釣り合うまでの厚さはエネルギーで変わる、ということです。

3. だから測定器にキャップをかぶせる

渡した分を測りたいときは、小さな測定器に、電子が走りきる厚さのキャップをかぶせます。これがビルドアップキャップです。キャップの中で電子平衡ができるので、測った値が渡した分に対応します。

X線のエネルギーが高いほど、電子が遠くまで走るので、キャップは厚くします。

よくある取り違え

  • 「ビルドアップ領域で電子平衡が成り立つ」:逆です。成り立つまでの区間がビルドアップ領域です。
  • 「電子平衡の厚さはエネルギーによらない」:エネルギーが高いほど、電子が遠くまで走るので厚くなります。
  • 「表面がいちばん多く置かれる」:表面には走ってくる電子がいないので、少なくなります。

今夜やること

寝る前に、何も見ずに「電子は走ってから置く」「表面は少なく、奥で増える」「釣り合う深さから同じ」の3つを言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、1章だけ読み直す。今日はそれでおしまいです。

空気で測った線量を水の線量に直す、次の一歩は空洞理論の記事にあります。

この記事を書いた人

田爪 大智

元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。

第一種放射線取扱主任者。

1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。

放射線技師の国試対策アプリを一人で開発中。

診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp

第74回〜第78回の過去問を見る(登録なし)

合格ラボ利用者の声

「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん

この記事で学んだことを、アプリで実践する

ブログで読めること

  • - 科目ごとの攻略法と考え方
  • - 合格率のデータと、その読み方
  • - 勉強スケジュールの立て方

アプリでできること

  • → 1問ずつ「なぜその答えになるか」を図で追える(無料は10問まで)
  • → 第73回以降の過去問と模擬試験を解ける
  • → 科目別の正答率が見える(全科目60%以上が目安)

Googleアカウントで登録・クレジットカード不要

Free: 解説は10問まで・第73回以降の過去問すべて・模擬試験・科目別の分析が0円

Pro: 理解ルートの続き・解説が無制限・ロードマップの全8パス・テーマ別学習のPart 2以降 — 10,000円(買い切り)