電離箱の読みは「中の空気の量」で決まる。国試で問われる3つを、動画と過去問で押さえる
電離箱の読みは、中の空気の量で決まります。暑い日や気圧の低い日は空気が減って読みが小さく出るので、基準(22.0 ℃・101.33 kPa)の量に戻す係数を掛けます。式の向きと計算問題を、診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。
まず1分、中で起きていることを見てください。そのあと、同じ原理で国試の1問を解きます。
① 見る(1分)
合格ラボのロードマップ「電離箱は温度と気圧で補正」の動画そのものです。
② 解く(第78回 午前 問70)
空洞電離箱線量計を用いて大気条件25.0 ℃、100.0 kPaのもとで照射線量を測定した。温度気圧補正係数に最も近いのはどれか。ただし、空洞電離箱線量計は基準大気条件22.0 ℃、101.3 kPaのもとで校正されたものとする。
温度気圧補正の式。分子に温度だったか、気圧だったか。計算問題になると、どっちを上にするか迷ってしまう。そういう人は多いです。
でも大丈夫です。「電離箱の読みは、中の空気の量で決まる」。この1文から、式の向きは自分で組み立てられます。
この記事の答えは3つです。
- 電離箱の読みは、中の空気の量で決まる
- 暑い日・気圧の低い日は空気が減って、読みが小さく出る
- だから基準の量に戻す係数は、空気が減った日は1より大きい
1. 電離箱の読みは、中の空気の量で決まる
同じ放射線なら、箱を通り抜ける電子の流れも同じです。イオン対を1組作るのに使うエネルギー(W値)も変わりません。違うのは、中の空気の量だけ。
空気が多いと、電子が電離する相手が多く、読みは大きくなります。空気が減ると、相手も減って、読みは小さくなります。第77回 午前 問68 の正解「測定値は充塡気体の密度に比例する」は、このことです。
2. 暑い日・気圧の低い日は、空気が減る
この補正をする電離箱は、小さな穴で外の空気とつながっています。
- 温度が上がると、空気はふくらんで、入りきらない分が外へ出ていく
- 気圧が低い日は、外から押し込む力が弱くて、やはり空気が減る
だからそのまま読むと、暑い日や気圧の低い日は、本当の線量より少なく出てしまいます。第73回 午後 問79 の正解「(診断用X線の線量測定で)温度気圧補正が必要である」も、ここから来ています。
3. 基準の量に戻す係数は、空気が減った日は1より大きい
そこで、その日の温度と気圧を測って、目盛りを決めたときの基準(22.0 ℃・101.33 kPa)の空気の量に戻します。これが温度気圧補正です。
式は、空気が減る向きに働くものを分子に置くと覚えられます。温度は高いほど空気が減るので分子、気圧は低いほど空気が減るので分母です。
(273.2 + T) / (273.2 + 22.0) × 101.33 / P
第74回 午前 問82 の正解の式もこの形です。
上の過去問(第78回 午前 問70)では、25.0 ℃・100.0 kPa。基準より暑く、気圧も低い日なので、答えは1より大きいはずです。計算すると約1.02。選択肢を見た時点で、1より小さいものは外せます。
よくある取り違え
- 「暑い日は空気がふくらんで、読みが大きくなる」:逆です。ふくらんだ分が外へ出て、中の空気は減ります。
- 「気圧が低いと読みが大きくなる」:中の空気が減るので、小さくなります。
- 「W値が温度で変わるから補正する」:W値は変わりません。変わるのは空気の量です。
今夜やること
寝る前に、何も見ずに「読みは中の空気の量」「暑い・気圧が低い → 空気が減る → 係数は1より大きい」と言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、3章の式の向きだけ読み直す。今日はそれでおしまいです。
空気で測った線量を水の線量に直す話は空洞理論の記事にあります。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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