中性子は水素で減速する。国試で問われる3つを、過去問で押さえる
中性子は電子を素通りして原子核にぶつかり、同じ重さの水素にいちばんよくエネルギーを渡します。弾性散乱で渡せる割合の式、重い核では減速しない理由、水が減速材になる理由。診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。
実際に国試に出た1問です。まず、その場で解いてみてください。
① 解く(第75回 午前 問73)
運動エネルギー E₀ の中性子が、静止している質量 M[u]の原子核と反跳角 θ で弾性散乱したとき、原子核の反跳エネルギーを表す式はどれか。
中性子の反跳エネルギーの式、減速材、軽い核と重い核。式の分母が (M+1)² だったか (M−1)² だったか、毎回迷う。そういう人は多いです。
でも大丈夫です。中性子がいちばんよく渡せるのは、自分と同じ重さの相手。ここから式の形も、減速材の選び方も出てきます。
この記事の答えは3つです。
- 中性子は電子を素通りして、原子核にぶつかってはね返る(弾性散乱)
- いちばんよく渡せるのは、同じ重さの核(水素)
- だから、速い中性子は水で減速する
1. 電子を素通りして、核にぶつかる
中性子は電気を持たないので、原子のまわりの電子とはほとんど何もしません。電子を素通りして原子核にぶつかり、はね返ります。核の中身は変えず、運動のエネルギーだけをやり取りする。これが弾性散乱です。
2. 同じ重さの相手に、いちばんよく渡す
核に渡したエネルギーは、核が動き出す勢いになります。重い核はぶつかってもほとんど動かないので、ほとんど受け取れません。
水素の核は陽子1個で、中性子とほぼ同じ重さ。正面からぶつかると、中性子はその場で止まり、ほぼ全部を渡します。同じ中性子が鉛の核にぶつかると、鉛はほとんど動かず、中性子は壁に当てたボールのようにはね返るだけ。
渡せる割合は、正面のとき 4M/(M+1)²(中性子の質量を1とする)。M=1 でちょうど1になります。上の過去問の式は、これに核のはじかれる角度の cos²θ が付いた形です。
3. 水で減速する
だから、速い中性子を遅くしたいときは、水素をたくさん含む水を使います。水素にぶつかるたびに、中性子はぐんと遅くなる。これが減速です。

第73回 午前 問73(中性子と物質との相互作用)では、「減速材として高原子番号の物質が用いられる」は誤りです(正解は「速中性子では物質の厚さとともに指数関数的に減弱する」)。
よくある取り違え
- 「重い核ほどよく減速させる」:逆です。重い核はほとんど受け取れません。
- 「中性子は電子と主に相互作用する」:違います。電子は素通りして、核とやり取りします。
- 「分母は (M−1)²」:(M+1)² です。M=1 で割合が1になる形を思い出せば迷いません。
今夜やること
寝る前に、何も見ずに「同じ重さの相手にいちばん渡す」「だから水素・水で減速」と言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、2章だけ読み直す。今日はそれでおしまいです。
遅くなった中性子が最後にどうなるかは熱中性子の捕獲の記事にあります。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
この記事で学んだことを、アプリで実践する
ブログで読めること
- - 科目ごとの攻略法と考え方
- - 合格率のデータと、その読み方
- - 勉強スケジュールの立て方
アプリでできること
- → 1問ずつ「なぜその答えになるか」を図で追える(無料は10問まで)
- → 第73回以降の過去問と模擬試験を解ける
- → 科目別の正答率が見える(全科目60%以上が目安)