光子には飛程がない。半価層で国試に問われる3つを、過去問で押さえる
光子には止まる深さ(飛程)がなく、同じ厚さごとに同じ割合ずつ減ります。半価層の式、μ が大きいほど半価層が薄いこと、混ざったX線では第2半価層のほうが厚いこと。診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。
実際に国試に出た1問です。まず、その場で解いてみてください。
① 解く(第76回 午後 問83)
半価層を求める式はどれか。ただし、線減弱係数を μ とする。
半価層、線減弱係数、指数関数。式がいくつも出てきて、ln2 がどこに付くのか迷う。そういう人は多いです。
でも大丈夫です。光子には、止まる深さがない。同じ厚さごとに、同じ割合ずつ減るだけ。ここから式も性質も出てきます。
この記事の答えは3つです。
- 光子には飛程がなく、同じ厚さごとに同じ割合ずつ減る
- 半分になる厚さが半価層。μ が大きいほど薄い
- エネルギーの混ざったX線は、低い光子から先に減る
1. 同じ厚さごとに、同じ割合ずつ減る
光子は、当たるか、すり抜けるかが確率で決まります。当たらなかった光子はエネルギーを少しも失わず、入ったときのまま進む。だから奥へ進んでも、当たる確率は変わりません。
その結果、同じ厚さごとに同じ割合ずつ減っていきます。式で書くと I=I₀e^(−μx)。荷電粒子のように、決まった深さで止まること(飛程)はありません。

2. 半価層は −ln(0.5)/μ
半分にする厚さが半価層です。e^(−μx)=0.5 を解くと、x=−ln(0.5)/μ(=ln2/μ)。上の過去問の答えです。
μ が大きい物ほど、半価層は薄くなります。鉛の壁が薄くて済むのはこのためです。そして、半価層を何枚重ねても、通り抜ける光子はゼロにはなりません。半分、その半分と減るだけです。
3. 混ざったX線は、低い光子から減る
X線管から出るX線は、いろいろなエネルギーが混ざっています。低い光子ほど当たりやすいので、先に減る。奥へ行くほど残るのは高い光子で、減り方がゆるやかになります。
だから2枚目の半価層(第2半価層)は、1枚目より厚い。第77回 午前 問71 で「第2半価層より第1半価層が大きい」が誤りなのはこのためです(正解は「線量の測定には電離箱線量計が適する」)。
よくある取り違え
- 「十分厚くすれば光子はゼロになる」:なりません。割合で減るだけです。
- 「μ が大きいほど半価層は厚い」:逆です。μ が大きいほど薄い。
- 「第1半価層と第2半価層は同じ」:1種類のエネルギーなら同じ。混ざったX線では第2のほうが厚い。
今夜やること
寝る前に、何も見ずに「同じ厚さごとに同じ割合」「半価層=ln2/μ」の2つを言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、2章だけ読み直す。今日はそれでおしまいです。
決まった深さで止まる荷電粒子との違いは荷電粒子の飛程の記事にあります。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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