遅い中性子ほど捕まる。熱中性子で国試に問われる3つを、過去問で押さえる
まわりの原子と同じくらいまで遅くなった中性子が熱中性子(0.025 eV・約2200 m/s)。電気を持たないので核に押し返されず、遅いほど捕まりやすく、捕獲断面積は速さに反比例します。診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。
実際に国試に出た1問です。まず、その場で解いてみてください。
① 解く(第78回 午後 問63)
中性子で正しいのはどれか。
熱中性子は 0.025 eV、速さは 2200 m/s、捕獲断面積は 1/v。数字と式がばらばらに並んでいて、つながりが見えない。そういう人は多いです。
でも大丈夫です。遅いほど、核のそばに長くいる。だから捕まりやすい。この1本で、数字も式もつながります。
この記事の答えは3つです。
- まわりの原子と同じくらいまで遅くなった中性子が、熱中性子
- 熱中性子は核に捕まる(捕獲)。熱中性子では捕獲が主役
- 捕まりやすさは、速さに反比例する
1. 熱中性子は、もうそれ以上遅くならない
水素にぶつかるたびに、中性子は遅くなります。まわりの原子が熱で揺れるのと同じくらいまで遅くなると、もう遅くならない。これが熱中性子です。エネルギーはおよそ 0.025 eV、速さは秒速約 2200 m。
第74回 午前 問73(0.025 eV の中性子の速度)の正解は 2.2 × 10³ m/s でした。
2. 熱中性子は、核に捕まる
熱中性子は、やがて原子核に取り込まれます。これが捕獲です。中性子は電気を持たないので、核に押し返されません。遅くても、そのまま核に入れます。
上の過去問の正解「熱中性子と物質の相互作用は捕獲反応が支配的である」は、この話です。

3. 捕まりやすさは、速さに反比例
遅いほど、核のそばに長くいるので、捕まりやすい。速い中性子は、同じ核のそばを一瞬で通り過ぎるので、ほとんど捕まりません。そばにいる時間は速さに反比例するので、捕まりやすさ(捕獲断面積)も速さに反比例します。
第77回 午後 問63 で「中性子捕獲断面積は中性子の速度に比例する」が誤りなのはこのためです。
だから中性子を止めたいときは、水を厚く置きます。水素にぶつかって遅くなり、最後は核に捕まって、向こう側へはほとんど出てきません。
よくある取り違え
- 「熱中性子は相互作用しない」:します。捕獲が主役です。
- 「速いほど捕まりやすい」:逆です。遅いほど捕まりやすい(1/v)。
- 「熱中性子は 0.25 eV」:0.025 eV です。
今夜やること
寝る前に、何も見ずに「遅いほど核のそばに長くいる、だから捕まる」と言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、3章だけ読み直す。今日はそれでおしまいです。
中性子が遅くなるまでの話は中性子の減速の記事にあります。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
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「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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