読みのずれは Z で決まる。エネルギー依存性で国試に問われる3つを、過去問で押さえる
線量計の読みが体とずれるかどうかは、素子の原子番号 Z で決まります。Z の大きい素子が低いX線で読みすぎる理由、LiF のずれが小さい理由、Sn や Al のフィルタの役目。診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。
実際に国試に出た1問です。まず、その場で解いてみてください。
① 解く(第77回 午前 問72)
個人被ばく線量計に用いられる検出材料で光子に対するエネルギー依存性が最も小さいのはどれか。
LiF、CaSO₄、Al₂O₃、リン酸塩ガラス。素子の名前がずらっと並ぶと、どれのエネルギー依存性が小さいのか迷う。そういう人は多いです。
でも大丈夫です。読みが体とずれるかどうかは、素子の Z で決まる。これだけで、選択肢は判断できます。
この記事の答えは3つです。
- 読みのずれは、素子の Z で決まる。Z が体に近い LiF はずれが小さい
- 低いX線では、Z の大きい素子が光電効果で多く受け取り、読みすぎる
- Z の大きい素子は、前に Sn や Al の板を置いて、低いX線を減らす
1. 読みのずれは Z で決まる
線量計で知りたいのは、体が浴びた量です。でも電子をためる素子は、体と違う物でできています。
読みが体とずれるかどうかは、素子の原子の陽子の数 Z で決まります。Z を体に近づければ、読みは体とほぼそろう。たとえば LiF。上の過去問の答えです。
2. 低いX線で、読みすぎる
エネルギーの低いX線は、Z の大きい原子ほど光電効果で止まりやすい。だから Z の大きい素子は、体より多くエネルギーを受け取って、読みすぎます。
同じ素子でも、エネルギーの高いX線なら、体も素子もコンプトン散乱が主になって、受け取る量はほぼ同じ。X線のエネルギーで読みが変わってしまう。これがエネルギー依存性です。
3. 前に板を置いて打ち消す
だから、Z の大きい蛍光ガラスの線量計には、素子の前にスズ(Sn)やアルミ(Al)の板が入っています。低いX線を板で減らして、読みすぎを打ち消している。

第76回 午後 問82(Sn や Al のフィルタを組合せる目的)の正解は「エネルギー依存性を補正する」でした。
空気と同じように振る舞う電離箱は、このずれが小さいので、X線の半価層の測定に向きます。第74回 午後 問83 の正解は電離箱です。
よくある取り違え
- 「Z が大きいほど体に近い」:逆です。体は Z の小さい原子ばかりです。
- 「フィルタは LET 依存性やフェーディングを補正する」:違います。エネルギー依存性の補正です。
- 「高いエネルギーで読みすぎる」:読みすぎるのは低いエネルギーです。
今夜やること
寝る前に、何も見ずに「Z が大きいと低いX線で読みすぎる、だから前に板」と言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、2章だけ読み直す。今日はそれでおしまいです。
素子に電子をためて読む仕組みは積算型線量計の記事にあります。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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