壊死は「事故死」、アポトーシスは「予定された自殺」。図で見て、国試の1問を解いてみる
壊死とアポトーシス、どっちがどっちか、混ざりやすいところですよね。
細胞が縮む、膜が破れる、炎症が起きる、群れで起きる、1つずつ起きる。並べて覚えたはずなのに、選択肢を前にすると「これはどっちの話だっけ」と手が止まる。どちらも「細胞が死ぬ」話なので、なおさら区別がつきにくいです。
ひとつずつ特徴を覚えようとすると、数が多くて入れ替わります。
でも、この2つの違いは、じつはひとつだけです。事故で死ぬのか、予定どおり自分で死ぬのか。 そこさえ見えれば、特徴は覚えなくても、その場で出てきます。
事故死と、予定された自殺
まず、下の図を見てください。左が壊死、右がアポトーシスです。
壊死は、事故死です。
事故なので、準備も片づけもありません。細胞はふくらんで、ふくらみきったところで膜が破れます。膜が破れれば、中身がまわりに漏れ出します。
漏れた中身は、まわりにとっては散らかったゴミのようなもの。だから、まわりで炎症が起きます。
しかも事故なので、1つだけで済みません。そこにいた細胞が、まとめて何個も巻き込まれます。
アポトーシスは、予定された自殺です。
予定どおりなので、死に方に手順があります。細胞はふくらむのではなく、縮みます。そして、小さなかけらに分かれて、それぞれ膜に包まれます。包まれたかけらは、ほかの細胞に食べられて片づきます。
中身は包まれたままなので、まわりに漏れません。漏れないから、炎症は起きない。
そして予定どおりなので、死ぬのは決められた細胞だけ。1つずつ、静かに片づきます。
特徴は、全部ここから出てくる
図の左右を、もう一度上から見比べてみてください。同じ「細胞が死ぬ」でも、最初の一歩から逆を向いています。
壊死はふくらみ、アポトーシスは縮む。壊死は膜が破れ、アポトーシスは膜に包む。壊死は中身がまわりに散らばり、アポトーシスは中身ごと食べられて残らない。だから、炎症が起きるかどうかも逆になります。死ぬ数も、まとめて何個もか、1つずつかで逆です。
逆になっているのは、たまたまではありません。事故は、準備なしに起きて散らかったまま終わる。予定は、手順どおりに進んで片づいて終わる。違いの根っこは、この1つだけです。
こうして見ると、あの並んだ特徴は、全部どちらかの死に方から出てきます。
- ふくらむ → 膜が破れる → 中身が漏れる → 炎症 → まとめて何個も。これは事故(壊死)の流れ。
- 縮む → 小さく包まれる → 食べられる → 炎症なし → 1つずつ。これは予定(アポトーシス)の流れ。
「縮む」と「破れる」が入れ替わるのがいちばん多い取り違えですが、「事故なら破れる、予定なら包んで片づける」と思い出せば、迷わなくなります。
これで、壊死とアポトーシスの考え方はおしまいです。
- 壊死は事故死。ふくらんで膜が破れ、中身が漏れて炎症を起こす。まとめて何個も死ぬ
- アポトーシスは予定された自殺。1つずつ縮んで小さく包まれ、食べられるので炎症を起こさない
この2つを頭に置いて、下の1問を解いてみてください。
ここまでの考え方で、実際に国試に出た1問を解いてみてください。
① 解く(第76回 午後 問50)
アポトーシスで正しいのはどれか。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp