造影剤は「血に乗って、決まった順に回る」。図で見て、国試の1問を解いてみる
心臓まわりの問題、地味に点を落としやすいところですよね。
右心房、右心室、左心房、左心室。肺動脈、肺静脈、上大静脈、大動脈。似た名前が8つも9つも並んでいて、「どこからどこへ流れるんだっけ」が、本番で急にあやふやになる。
しかも「肺動脈には静脈血が流れる」なんて言われると、もう何を信じればいいのか分からなくなります。
造影CTのほうでも、動脈相、門脈相、平衡相と、また似た言葉が並びます。
でも、ここで起きていることは、じつはひとつだけです。血は、決まった順番で、一方通行に回っている。それさえ頭に描ければ、名前は覚えるものではなく、道順から出てくるものに変わります。
血は、決まった順に一周する
血の通り道は、8の字になっています。
全身から戻ってきた血は、静脈を通って心臓の右側に入ります。右心房、右心室と進んで、肺へ送り出される。肺から戻った血は、今度は心臓の左側に入って、左心房、左心室と進み、大動脈から全身へ出ていく。全身を回った血は、また静脈を通って右心に戻ってきます。
右心から肺へ、左心から全身へ。この2つの輪がつながって、8の字になっているわけです。
ここで、名前のつけ方を1つだけ押さえておきます。動脈か静脈かは、心臓から出ていく管か、心臓に入ってくる管かで決まります。中の血に酸素が多いかどうかでは決まりません。だから、右心室から肺へ出ていく管は「肺動脈」で、流れているのは全身から戻ってきた静脈血です。
そして、腕の静脈から入れた造影剤は、この血に乗って運ばれるだけです。自分で近道はしません。下の図で、造影剤がどの順に進むか、目で追ってみてください。
肘の静脈から入ったら、上大静脈を通って右心房、右心室。そこから肺動脈で肺へ。左の心臓や大動脈にたどり着くのは、肺をくぐったあとです。
回るから、撮る時間で白い所が変わる
造影剤は、入れた瞬間にからだじゅうへ広がるわけではありません。さっきの道を、順番に進んでいきます。
ということは、いつ撮るかで、そのとき造影剤がいる場所、つまり白く写る場所が変わります。
早めに撮れば、造影剤はまだ動脈の中にいて、動脈が白く写る(動脈相)。少し待つと門脈相、さらに待つと平衡相。腹部のダイナミックCTで時相の順番を並べる問題は、この「回る順」をそのまま時間に置きかえたものです。
肺動脈の血栓が、造影しないと見えないのも、この道の上の話です。
尿路の造影も同じで、静脈から入れた造影剤は、腎実質、腎盂、尿管、膀胱の順に写っていきます。
どれも、「造影剤は決まった道を順に進む」の言いかえです。
これで、考え方はおしまいです。
- 血は 静脈 → 右心 → 肺 → 左心 → 動脈 → 全身 → 静脈 と、決まった順に一方通行で回る。腕の静脈から入れた造影剤も、この血に乗って進む
- 順に進むから、撮る時間で白く写る場所が決まる(動脈相 → 門脈相 → 平衡相)
この2つを頭に置いて、下の1問を解いてみてください。
ここまでの考え方で、実際に国試に出た1問を解いてみてください。
① 解く(第77回 午後 問54)
肘静脈から注入した造影剤が最初に到達するのはどれか。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp