純度は「何が混ざったか」で3つ。図で見て、国試の1問を解いてみる
純度の問題、いやなところですよね。
放射性核種純度、放射化学的純度、化学的純度。どれも「純度」で終わっていて、名前がそっくり。選択肢では定義の文がわざと入れ替えてあって、読めば読むほどどっちがどっちかわからなくなる。
そこに、γ 線スペクトロメトリ、クロマトグラフィ、電気泳動と、検定の方法まで並んでくる。全部ばらばらに覚えようとすると、本番で必ず混ざります。
でも、3つの純度がやっていることは、じつはひとつだけです。「何が混ざったか」で名前が変わる。そこが見えれば、検定の方法も、選択肢の入れ替えも、自分で見破れるようになります。
純度は「何が混ざったか」で3つに分かれる
標識化合物は、ある化学形の物質に、放射性の核種をくっつけたものです。ほしいのは「正しい核種が、正しい化学形にくっついたもの」だけ。
でも、1本のバイアルの中には、それ以外のものも少し混ざります。下の図を見てください。
混ざり物は、3種類しかありません。
- 別の核種が混ざった → 放射性核種純度。核種がちがえば出す線のエネルギーがちがうので、γ 線スペクトロメトリで見分けます。
- 核種は同じだけど、化学形がちがうものが混ざった → 放射化学的純度。核種は同じなので、線を測っても区別できません。だから化学で分けます(クロマトグラフィ、電気泳動)。標識率も、こちらの仲間です。
- 放射性でない別の物質が混ざった → 化学的純度。
覚え方はひとつだけです。「核種」がちがうのか、「化学形」がちがうのか、そもそも放射性ですらないのか。名前の頭がそれを言っています。
なので、検定の方法も自然に決まります。核種のちがいは線のエネルギーで、化学形のちがいは化学で。高速液体クロマトグラフィで核種を見分ける、のような組み合わせは逆です。
標識化合物は、自分の出す線で自分を壊す
もうひとつ、知っておくと楽になることがあります。
きれいに作った標識化合物でも、置いておくうちに崩れていきます。原因は、自分が出している放射線です。とくに β 線は近くで止まるので、すぐそばにいる仲間の分子を壊してしまう。
壊れても、核種はそのまま残ります。変わるのは化学形のほう。図で、緑の六角が緑の点のついた四角に変わっていたのがそれです。
つまり、長く置くほど「同じ核種で、ちがう化学形」が増える。これは放射化学的不純物です。
放射能の濃度が高いほど、比放射能が高いほど、壊れやすくなります。線が作るラジカルは止められるので、低温にする、酸素を抜いて窒素を入れる、ラジカルスカベンジャを足す、で防ぎます。ただ、壊変そのものは止められません。
これで、純度の考え方はおしまいです。
- 純度は「何が混ざったか」で3つ。別の核種なら放射性核種純度、同じ核種で別の化学形なら放射化学的純度、放射性でない物質なら化学的純度
- 標識化合物は自分の出す線で壊れて、核種はそのまま化学形が変わる。だから置いておくほど放射化学的不純物が増える
この2つを頭に置いて、下の1問を解いてみてください。
ここまでの考え方で、実際に国試に出た1問を解いてみてください。
① 解く(第77回 午後 問11)
標識化合物の純度で正しいのはどれか。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp