光電効果は「全部渡す」。国試で問われる3つを、動画と過去問で押さえる
光電効果は「光子が全部渡して消える」反応です。電子に残るエネルギーの引き算、内側の殻ほど起きやすい理由、低いエネルギーと大きい原子番号で増えること、あとに出る特性X線とオージェ電子。診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。
まず1分、中で起きていることを見てください。そのあと、同じ原理で国試の1問を解きます。
① 見る(1分)
合格ラボのロードマップ「光電効果は全部渡す」の動画そのものです。
② 解く(第75回 午後 問72)
75 keV の光子がタングステンの K 殻軌道電子との光電効果を起こしたとき放出された光電子のエネルギー[keV]に最も近いのはどれか。ただし、タングステンの K 殻軌道電子の結合エネルギーは 69.5 keV とする。
光電効果、コンプトン散乱、電子対生成。名前は覚えたのに、選択肢になると迷う。そういう人は多いです。
でも大丈夫です。光電効果は「光子が持っているエネルギーを、電子に全部渡して消える」。この1文から、国試で問われることはほぼ全部出てきます。
この記事の答えは3つです。
- 電子に残るのは「光子のエネルギー − 結合エネルギー」
- 起きやすいのは、内側の殻の電子・低いエネルギー・大きい原子番号
- 電子が抜けた穴を埋めるとき、特性X線かオージェ電子が出る
1. 電子に残るのは「光子のエネルギー − 結合エネルギー」
光子は電子に全部渡して消えます。渡した分の一部は、電子を原子から剥がすのに使われます。剥がすのに要るエネルギーが結合エネルギーです。残りが、飛び出した電子(光電子)の運動エネルギーになります。
上の過去問(第75回 午後 問72)はこの引き算そのものです。75 keV の光子が、結合エネルギー 69.5 keV の K 殻電子を剥がすので、残りは 5.5 keV。
逆に言うと、光子のエネルギーが結合エネルギーより小さければ、その殻の電子は剥がせません。
2. 内側の殻・低いエネルギー・大きい原子番号で起きやすい
光電効果は、強く縛られた電子ほど起きやすい反応です。だから外側の電子より、内側の K 殻・L 殻の電子で多く起きます。
起きやすさは、エネルギーと原子番号で大きく変わります。
| 条件 | 光電効果 |
|---|---|
| 光子のエネルギーが低い | 増える |
| 光子のエネルギーが高い | 急に減り、コンプトン散乱が主役になる |
| 原子番号 Z が大きい物質 | 増える |
目安として、質量あたりの起きやすさは Z³ に比例し、エネルギーの3乗に反比例すると覚えておけば、選択肢は判断できます。
ここから臨床の話につながります。
- 鉛(Z=82)が遮へいに使われるのは、光電効果で光子を吸収しやすいから
- 低い管電圧の写真ほどコントラストがつくのは、骨(Z が大きいカルシウムを含む)と筋肉で光電効果の起き方に差が出るから
- 管電圧を上げるとコンプトン散乱が増え、散乱線で写真がぼやける
3. 穴を埋めるとき、特性X線かオージェ電子が出る
K 殻の電子が飛び出すと、K 殻に穴が空きます。外側の殻の電子がその穴に落ちてきて、エネルギーの差を外に出します。出し方は2通りです。
- 光として出す:特性X線
- 別の電子に渡して追い出す:オージェ電子
この2つは競い合う関係です。第77回 午後 問61(光電効果が生じたときに放出されるのはどれか)の答えも、この2つでした。
よくある取り違え
- 「光電効果では光子が残る」:残りません。全部渡して消えます。光子が残って曲がるのはコンプトン散乱です。
- 「エネルギーが高いほど光電効果が増える」:逆です。高くなるほど急に減ります。
- 「特性X線のエネルギーは入ってきた光子で決まる」:殻と殻のエネルギーの差で決まるので、物質(原子番号)で決まります。
今夜やること
寝る前に、何も見ずに「全部渡す」「−結合エネルギー」「内側・低い・大きいZ」「特性X線かオージェ」の4つを言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、2章の表だけ読み直す。今日はそれでおしまいです。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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