光を電子に変えて増やす。光電子増倍管で国試に問われる3つを、過去問で押さえる
シンチレータの弱い光を、光電面で電子に変え、ダイノードで何段も増やして電気にするのが光電子増倍管。光電面とダイノード(10段前後・電圧で加速)、電気の大きさがエネルギーに比例したままである理由。診療放射線技師国家試験の過去問で確かめます。
実際に国試に出た1問です。まず、その場で解いてみてください。
① 解く(第73回 午前 問79)
光電子増倍管について正しいのはどれか。
光電面、ダイノード、陽極。光電子増倍管の部品の名前と役割が、選択肢で入れ替えられると迷う。そういう人は多いです。
でも大丈夫です。光を電子に変えて、増やして、電気にする。この順番に部品を並べれば、入れ替えはすぐに見抜けます。
この記事の答えは3つです。
- シンチレータの光は弱すぎるので、電子に変えて増やして電気にする
- 入り口の光電面で光を電子に変え、ダイノード(10段前後)で電圧で引っぱって増やす
- 段ごとに同じ割合で増えるので、電気の大きさは光の量(置いたエネルギー)に比例したまま
1. 光は弱すぎる
X線や γ線が当たると光る結晶がシンチレータです。その光の量で、置いていったエネルギーを読みたい。でも光は弱すぎて、そのままでは電気で読めません。
だから、光をまず電子に変えて、その電子を何段も増やし、読める電気にする。これが光電子増倍管です。
2. 光電面とダイノード
入り口の膜では、光が膜の電子に全部渡して剥がします。この膜が光電面です。
剥がれた電子を電圧で引っぱって板にぶつけると、1個が数個をたたき出す。この板がダイノードで、10段前後並んでいます。電子はねずみ算でものすごい数になり、最後に陽極に集まります。
上の過去問の正解は「ダイノードは10〜15段で構成される」。「光電陽極で光電子に変換」「磁場で加速」は、それぞれ光電面・電場(電圧)が正しい形です。
3. 大きさはエネルギーに比例したまま
エネルギーの小さい γ線では光が少なく、電子も少ない。大きい γ線では光が多く、電子も多い。どちらも板ごとに同じ割合で増えるので、多かったほうがそのまま大きな電気になります。
だから1本ずつ電気の大きさを測って積んでいくと、同じエネルギーの γ線は同じ大きさに集まって山が立つ。山の位置で、来た γ線のエネルギーがわかります。

なお、Ge 半導体検出器は電荷を直接集めるので、光電子増倍管は使いません。第77回 午前 問70(高純度 Ge 半導体検出器の基本構成に含まれないもの)の正解は光電子増倍管です。
よくある取り違え
- 「光電子増倍管は電離箱と組み合わせる」:組み合わせるのはシンチレータです。
- 「ダイノード間は磁場で加速」:電場(電圧)で加速します。
- 「増やすとエネルギーの情報が消える」:段ごとに同じ割合で増えるので、比例したまま残ります。
今夜やること
寝る前に、何も見ずに「光電面で光→電子、ダイノードで増やす、陽極で集める」と言ってみてください。言えたら、上の過去問をもう一度だけ解く。言えなかったら、2章だけ読み直す。今日はそれでおしまいです。
光電面で起きている「全部渡して剥がす」は光電効果の記事にあります。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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