腸の血は「まず肝臓へ」。図で見て、国試の1問を解いてみる
肝臓のまわり、覚えることが多くて嫌になりますよね。
門脈、肝静脈、下大静脈。胆嚢、総胆管、膵管、ファーター乳頭。血の通り道と胆汁の通り道が同じあたりに重なっていて、どれがどこにつながるのか、図を見ているときはわかったつもりでも、本番で選択肢を前にすると混ざる。
肝臓の働きもそうです。作る、貯める、分解する。並んだ言葉がどれも肝臓っぽく見えて、決めきれない。
でも、このあたりで起きていることは、じつはひとつだけです。**胃や腸からの血は、まず肝臓に入る。**ここが見えると、名前も働きも、その流れの上に並んでくれます。
腸の血は、まず肝臓に寄り道する
胃や腸を流れた血には、決まった行き先があります。胃・腸・脾臓から出た血は、いったん門脈という1本の血管に集まって、まず肝臓に入ります。
下の図を見てください。
- 胃・腸・脾臓の血 → 門脈に集まる → 肝臓に入る
- 肝臓を出た血 → 肝静脈 → 下大静脈
門脈は「肝臓に入る」側、肝静脈は「肝臓から出る」側です。名前が似ているので、ここで向きを取り違えないでください。
この向きが見えていると、「門脈に流れ込むのはどれか」と聞かれても慌てなくてすみます。門脈に入ってくるのは、胃・腸・脾臓のほうから来る血管です。肝静脈は、肝臓を出たあとの血の通り道なので、門脈には入りません。流れの上で、どこにいる血管なのかを考えればいいだけです。
肝臓は、届いた材料の工場と倉庫
なぜわざわざ肝臓に寄るのか。
肝臓は、門脈で届いた材料を受け取る工場と倉庫だからです。
- 工場として:たんぱく質を作ります。血の中のアルブミンや、血を固める凝固因子は、肝臓で作られます。
- 倉庫として:糖をグリコーゲンという形にして貯めておきます。
- もうひとつ、胆汁を作ります。
ここでひとつだけ気をつけたいのが胆汁です。作るのは肝臓ですが、貯めておくのは胆嚢です。肝臓は作る係、胆嚢は貯める係。ここを「肝臓が貯める」と覚えてしまう人が多いところです。
胆嚢に貯められた胆汁は、総胆管を通って十二指腸に出ます。その出口がファーター乳頭で、膵臓からの膵管も、ここで一緒に出てきます。図の下半分が、その道です。
血の道と胆汁の道は、同じあたりを通りますが、別の道です。肝臓を出た血は肝静脈から下大静脈へ。肝臓で作られた胆汁は、胆嚢を経て総胆管からファーター乳頭へ。出口がちがうと押さえておけば、名前が混ざりにくくなります。
肝臓の働きで迷ったら、「それは工場で作るもの?倉庫に貯めるもの?」と、自分に聞いてみてください。アルブミンや凝固因子なら工場、グリコーゲンなら倉庫、胆汁は作るところまでが肝臓で、貯めるのは胆嚢。この仕分けができれば、並んだ言葉に振り回されなくなります。
これで、門脈と肝臓の考え方はおしまいです。
- 胃・腸・脾臓の血は門脈に集まって、まず肝臓に入る。出るときは肝静脈から下大静脈へ
- 肝臓は工場と倉庫。たんぱく質を作り、糖をグリコーゲンで貯め、胆汁を作る(貯めるのは胆嚢)
この2つを頭に置いて、下の1問を解いてみてください。
ここまでの考え方で、実際に国試に出た1問を解いてみてください。
① 解く(第75回 午前 問58)
肝臓の機能で正しいのはどれか。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp