覚えたはずなのに、手が止まる
解説を読んだときは「あー、そうだった」となるのに、次に似た問題が出るとまた止まる。覚え方が悪いのかなと思って、ゴロを増やしたりノートを作り直したりする——たぶん、そこじゃないです。
第78回の問題を全部並べて解説を書いてみたところ、止まる場所はいつも同じ一点でした。式は言える、数字も与えられている、なのにその2つがつながらない。つまり「どこに入れるか」が決まっていません。
式を覚えたら、その式が「何と何の割り算か」を声に出して言ってみてください。5秒で終わります。言えたらその式はもう覚えなくて大丈夫。言えなかったら、そこがまだ埋まっていないところです。

覚えたはずなのに、手が止まる
参考書、気づいたらページが全部黄色くなってた、みたいなことないですか。
大事なところに線を引いてたはずなのに、引き終わってみると大事じゃないところが見当たらない。あれ、線を引いてる瞬間はちゃんと「入った」感じがするんですよね。
で、模試で出てくると、出てこない。解説を読んで「あー、そうだった」ってなる。次に似た問題が出ると、また止まる。
そのあと何を思うかというと、だいたい「覚え方が悪いのかな」なんです。もっといいゴロを探そうとか、まとめノートを作り直そうとか。まとめノートって、作り始めるとなぜか表紙から気合いが入るんですけど。
たぶん、そこじゃないんですよ。
止まるのは「知らない」から、じゃない

第78回の問題を全部並べて、ひとつずつ解説を書いてみました。それであらためて思ったことがあって。
手が止まる問題って、知らない問題じゃないんです。見たことはある。式も、なんなら言える。なのに解けない。
止まっているのは、いつも同じ一点でした。
目の前の数字を、その式のどこに入れるのかが決まらない。
式は覚えている。数字も与えられている。でも、その2つがつながらない。だから手が止まる。ゴロを増やしても、まとめノートを作り直しても、ここは埋まらないままなんですよね。
たとえば、グリッドの式
ひとつだけ具体で見てみます。エックス線撮影のグリッドの話です。
グリッドの性能を表すのに「イメージ改善係数」というのが出てきます。教科書には Tp² / Tt と書いてあります。
この形、覚えようとするとけっこうつらいです。なんで二乗なのか、なんで割り算なのか、上と下が逆じゃないのか。覚えたつもりでも、本番で「あれ、逆だっけ」となりやすいところなんですよね。
でも、これ、意味から作れるんです。
グリッドを入れると、いいことと悪いことが1つずつ起きます。
いいことは、コントラストが良くなること。良くなり方は「一次線がどれだけ残ったか ÷ 全部でどれだけ残ったか」なので Tp/Tt。これが得した分です。
悪いことは、線量が増えること。増える倍率は「全部でどれだけ通ったか」の逆数なので 1/Tt。これが払った代金です。
イメージ改善係数は、この2つの割り算になります。得を二乗して、代金で割る。
(Tp/Tt)² ÷ (1/Tt) = Tp² / Tt

二乗が付くのは、コントラストが画質に効くときは二乗で効いてくるからです。
で、ここからが本題なんですけど、覚えてほしいのは式のほうじゃなくて、この一言のほうです。
得を二乗して、代金で割る
これ、口で言えますよね。言えると、本番で式そのものを思い出せなくても、その場で作れるんです。得は Tp/Tt、代金は 1/Tt。この2つさえ出てくれば、あとは組み立てるだけなので。
同じことが、ほかの科目でも起きてる
第78回だと、たとえばこのあたりも同じ形でした。
- 放射線治療:長方形の照射野で MU を出す問題。止まるのは計算じゃなくて最初の一歩で、手元の表が正方形の値しか持っていない、というところです。だからまず正方形に直す。そこさえ抜ければ、あとは順番に当てるだけなんですよね
- MRI:画像を見て TR と TE を選ぶ問題。水が真っ黒 = 水を消している = 消えるのを待ってから撮る = だから TR が桁違いに長い。数値を思い出す問題じゃなくて、見え方から撮り方をさかのぼる問題なんです
どれも、知識そのものは教科書に載っているものでした。分かれ目は、その知識が何と何の関係でできているかを言えるかどうか、だけだったと思います。
で、結局どうすればいいか
ひとつだけです。
式を覚えたら、その式が「何と何の割り算か」を声に出して言ってみる。

紙に書かなくていいです。ノートも作らなくて大丈夫。5秒で終わります。
言えたら、その式はもう覚えなくていいんです。言えなかったら、そこがまだ埋まっていないところ、ってことなんですよね。
ゴロを増やすのも、まとめノートを作り直すのも、そのあとで大丈夫だと思います。
言えなかったときの、行き先
さっきの5秒、やってみると「言えない式」がけっこう出てくると思います。で、そこからが時間のかかるところなんですよね。何と何の関係でできているのかって、教科書にはだいたい書いていないので、自分で作りにいくことになります。私が自力で腹落ちさせたときは、1問に2時間かかりました。
合格ラボに入れてある解説は、その部分を先にやってある形です。よくある解説は正解の番号と根拠が一行、という形が多いです。この一行で止まるのが普通なのは、質の問題じゃなくて算数の問題なんですよね。受験者が年に数千人の試験で、1問ずつほどくコストは会社だと合わない。私は個人なので、合わなくても困るのは私だけなんです。
なので、そこじゃなくて「何と何の関係でできているか」から書いています。この記事のグリッドの説明と、同じ書き方です。図もつけているのは、式や現象は文字だけより2〜3コマの絵のほうが速いので。
紙面のまま解けるようにもしています。図とか表とか別冊の図版が欠けないように、試験の紙面そのものを出しているんです。
範囲だけ先に言っておくと、第74回以降の過去問は、第78回のぶんも含めて登録すれば無料で解けます。この書き方の解説が読めるのは、無料だと5問までです。
第78回の問題は登録の内側にあるので、いきなり中身を見たいなら第75回 午前 問45を登録なしで開けます。回は違いますし、そちらは1画面の解説じゃなくて順番に画面を追っていく形なんですけど、「何と何の関係か」から入るところは同じです。言えなかった式が1つでもあった人は、ここから見てもらうのが早いと思います。
勉強の進め方そのものに迷っているなら、何から手をつければいいかと過去問の使い方もあります。
まとめ
- 手が止まるのは、知らないからじゃなくて「どこに入れるか」が決まらないから
- グリッドのイメージ改善係数は「得を二乗して、代金で割る」
- 式を覚えたら、何と何の割り算かを声に出して言ってみる。5秒で終わります
- 言えたら、その式はもう覚えなくて大丈夫。本番で思い出せなくても、その場で作れます
- 言えなかったら、そこが埋まっていないところ。掘るのに要る時間は、先に払ってあります
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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