過去問8割なのに、本番の点が読めない
過去問を何周もして7〜8割取れているのに、本番で何点取れるか読めない。理由の一つは、何度も解いた問題は答えを覚えていて、その分だけ点が高く出ることです。
合格基準は120点以上(第78回は199点満点)で、0点の科目が1科目以下。過去問8割は約159点ですが、その点数に「見覚えで取れた点」がどれだけ混ざっているかは、点数だけでは見えません。
答えを覚えた問題を外して、初めて見る問題だけで正答率を出し、満点に換算します。本番の点を当てるものではありませんが、覚えた分の上乗せを外した目安になります。手順は記事の中で先に渡します。
過去問は何周もしていて、7〜8割は取れる。それでも、本番で何点取れるかが読めない。第78回(2026年2月19日)の合格率は76.2%で、第77回の84.7%から8.5ポイント下がりました。「過去問が解ける」ことと「初めて見る問題が解ける」ことの間に、自分はどれだけ差があるのか。それを測れずにいる4年生と、第78回で悔しい思いをした既卒の方に向けて書きました。
先に結論です。答えを覚えた問題を外して、初めて見る問題だけで数え直すと、覚えた分の上乗せが外れて、実力に近い数字が見えやすくなります。 ただしこれは本番の点を当てる予言ではなく、いまの位置を測る方法です。自分でできるやり方を先に渡し、そのあとで合格ラボの機能を紹介します。
この記事のポイント
- 合格基準は「120点以上かつ0点の科目が1科目以下」。過去問8割は199点満点なら約159点だが、そこには「見覚えで取れた点」が混ざる
- 答えを覚えた問題は、問題が少し変わると解けなくなりやすい。点数だけでは、理解で取れた点と記憶で取れた点が区別できない
- 初めて見る問題だけで正答率を出し、満点に換算すると、覚えた分の上乗せを外した数字になる(考え方であり、本番の点を当てる証拠はない)
- 自分でやるなら「解く前に見覚えをメモ → 通しで解く → 初見だけ数える → 換算し、科目別にも見る」の4ステップ
- 初めて見る問題は解いた瞬間に減る。使う回を決めて取っておく
目次
- 過去問8割と合格基準120点のあいだ
- 覚えた問題で点が高く出る理由
- 初めて見る問題だけで測る考え方
- 自分でできる初見の点数の出し方4ステップ
- 合格ラボの組み替え模試と初めて解いた問題だけの点数
- 換算点の読み方と限界
- まとめ
過去問8割と合格基準120点のあいだ
まず基準を確認します。厚生労働省の発表では、第78回の合格基準は総得点120点以上かつ0点の科目が1科目以下でした。この回は1問が採点除外となり199点満点なので、120点はおよそ6割にあたります。合格率は76.2%(新卒は83.8%)で、第77回から8.5ポイント低下しました。第78回の結果そのものは第78回の合格率と学校別データの分析にまとめています。
過去問で8割取れているなら、199点満点で約159点。合格ラインより約39点上です。数字だけ見れば余裕があります。でも知りたいのはその先です。その8割は、初めて見る問題でも出る8割なのか。
この疑問は、受験生の側からも出ています。Yahoo!知恵袋には2022年に「過去問のみ10年分を4周すれば受かりますか?過去問で7〜8割」という質問があり、回答の一つはこう書いていました。
新しい問題が出た時に簡単であっても、この問題解いたことない!今年は難しい!!って錯覚します
第78回の合格率が下がった理由は、この記事では断定しません。扱うのは、自分の過去問の点を、本番に近い数字へどう読み替えるかです。
覚えた問題で点が高く出る理由
過去問を周回すれば、答えを覚える問題が増えます。これは勉強が進んでいる証拠で、悪いことではありません。点が高く出るのも自然です。
問題は、その点数をそのまま実力として読んでしまうことです。
答えを覚えている問題では、「見たことある」という感覚が答えを引き出します。理由を説明できなくても、正解になります。初めて見る問題では、その手は使えません。条件を読み、原理や理由から選択肢を評価することになります。どちらも点数は同じ1点なので、点数だけを見ても、どちらで取れた点かは区別できません。
同じことは、他の医療系国試の受験生も指摘しています。
- 臨床検査技師国試の受験生へのアンケート(筑波大学のウェブサイト掲載の資料)では、過去問CDについて「問題を覚えてしまうのが難点」という声が挙がり、「『へー、そうなんだぁ』と思った問題は、たいてい後で解いても間違う」「2・3回目以降は間違った問題だけでよい」という回答もありました
- PT・OT・STの受験生向けの掲示板には、「正解だけを覚えると、問題を少しいじられるだけで答えれなくなります」という投稿があります
私が技師として現場に出て、最初に戸惑ったのもここでした。教科書や過去問で見たような「型どおり」の撮影は、ほとんど来ません。体格も、痛みで取れる体位も、依頼の書き方も、患者さんごとに違う。結局たよりになったのは「前に見たことがある」ではなく、「なぜこの条件にするのか」を自分で組み立て直せるかどうかでした。国試の初めて見る問題が試しているのも、たぶん同じところです。
復習のタイミングを工夫する方法は過去問3周しても点が伸びない原因と間隔反復で、過去問を教材として使うやり方は過去問の正しい使い方で扱っています。ここで話しているのはその手前、点数をどう読むかの話です。
初めて見る問題だけで測る考え方
考え方はシンプルです。同じ答案を、2通りに数えます。
- 全部の問題で数える(見覚えのある問題も含める)
- 初めて見る問題だけで数え、満点に換算する
図の数値は考え方を示す例で、実在の人の成績ではありません。初めて見る問題60問のうち38問、覚えていた問題140問のうち132問に正解した場合、全体では200問中170問正解(85%)です。一方、初めて見る問題だけの正答率は63%で、200点満点に換算すると127点相当になります。この差の43点が、覚えていた問題が押し上げた分です。
覚えた分の上乗せを外すので、実力に近い数字になる。これが考え方です。ただし、この数字が本番の点数を予測できるという根拠は、確認できた範囲では見つけられていません。 言えるのは理屈までです。また、模試や自己採点の点数は、合否を言い当てるものではなく、いま何を落としているかを測るものだと考えてください(模試の使い方で詳しく扱っています)。
もう一つ、見る場所があります。帝京大学の研究(日本教育工学会2014年大会)は、学内模試から合否を予測するとき、総合点より科目別の得点のほうが的中率が高かったと報告しています。国試の合格基準も「0点の科目が1科目以下」を求めていて、科目ごとの穴を見る意味があります。科目ごとにどこで失点が大きいかは国試ボーダー120点、どの科目で作るかに実測データを載せています。
自分でできる初見の点数の出し方4ステップ
道具がなくてもできます。紙の過去問でも、手持ちのアプリでも構いません。
ステップ1 解く前に、問題ごとに見覚えをメモする。 問題を見た瞬間に、「初めて」「見た気がする」「答えを覚えている」の3つで印をつけます。大事なのは、解く前に決めることです。解いたあとに決めると、正解した問題を「覚えていた」と言いたくなり、不正解の問題を「初めてだった」と言いたくなります。
ステップ2 本番の形で通しで解く。 本番は午前・午後とも100問で、時間は2時間35分です(厚生労働省の時間割)。1回分を午前・午後に分けて、時間を計って解きます。終わるまで答えは見ません。
ステップ3 「初めて」の問題だけ数える。 「初めて」の印をつけた問題の正解数を、その問題数で割ります。「見た気がする」と「答えを覚えている」は数えません。
ステップ4 満点に換算し、科目別にも見る。 初見の正答率に満点(200点)を掛けます。科目ごとの初見の正答率も出しておくと、どの科目に穴があるかが見えます。
先ほどの例を表にすると、こうなります。
| 区分 | 問題数 | 正解 | 正答率 |
|---|---|---|---|
| 初めて見た | 60 | 38 | 63% |
| 見た気がする・覚えていた | 140 | 132 | 94% |
| 全体 | 200 | 170 | 85% |
全体では170点ですが、初見の正答率を満点に掛けると127点相当です。
このやり方には弱点もあります。
- 見覚えの判断は自己申告なので、あいまいです。迷ったら「見た気がする」に入れて、初見の数を少なめに見積もります
- 初見の問題が少ないと、1問で点数が大きく動きます。目安として、30問に満たないうちは数字を当てにしすぎないようにします
- 初めて見る問題は、解いた瞬間に減ります。 まだ解いていない回を取っておき、「ここで測る」と決めて使うのが現実的です
合格ラボの組み替え模試と初めて解いた問題だけの点数
ここまでの仕分けと換算は、自分でやると手間がかかります。この手間を画面の中で済ませるために、合格ラボには模試(2026年10月3日公開)があります。模試も解き直しも、無料で使えます(解説の閲覧には無料枠があります)。

画面はテスト用アカウントでの撮影です。画面内の問題は厚生労働省が公表した過去問です。
模試の流れ。 午前100問を解き、休憩1時間20分(飛ばせます)をはさんで、午後100問を解きます。午前・午後それぞれ2時間35分で、本番と同じ時間です。画面を離れると時計は止まり、続きから再開できます。受験中は正誤も解説も出しません。解き終わると合格か不合格かが出ます。基準は、合格ライン以上かつ0点の科目が1科目以下です。
模試は2種類あります。
- 過去の1回分をそのまま解く
- 組み替え:第77回か第78回のどちらかを手本にして、出る順番と科目はそのまま、各問を別の回の「同じテーマ・同じ科目」の問題に入れ替える
組み替えでは、まだ解いていない問題を優先して入れます。今年の出題範囲(令和7年版の出題基準)に入る問題だけで組みます。答えを覚えた問題を外して測りたい、という目的に合わせた作りです。

画面の数字は撮影用の模試のもので、実在の人の成績ではありません。
結果には、点数・合格ライン・科目別の得点・採点済みの答案用紙が出ます。答案用紙の行を押すと、その問題の解説が開きます。そして、**「合格ラボで初めて解いた問題だけで換算した点数」**も並べて出します。先ほどの4ステップのうち、見覚えのメモの代わりにアプリ内の解答記録で仕分け、数え直しと換算まで自動で出します。
画面にも書いてあるとおり、これは本番の点を当てるものではなく、覚えた分の上乗せを外した目安です。

受験中は「答案用紙」ボタンから開けます(画面は受験中のもの)。
注意してほしい点が2つあります。
- 「初めて解いた」は、合格ラボの中で解いた記録だけで判断します。紙の過去問や他のアプリで解いた問題は見分けられず、「初めて」として数えます。 学外で解いた問題が多い人は、換算点が実際より高く出ることがあります
- 初めて解いた問題が30問未満のときは、換算点を出しません。収録している問題数には限りがあるので、受けるほど初めての問題が減り、換算点が出なくなる人も出てきます
換算点の読み方と限界
換算点が出たら、次の順で読みます。
- 合格ラインと比べる。 初見の換算点が合格ライン(120点)の上か下か
- 科目別を見る。 0点の科目がないか、60%を大きく下回る科目はどこか
- 全体の点数との差を見る。 差が大きいほど、見覚えで取れていた点が多いと考えられます
1回の換算点は、その回に出た問題の当たり外れでも上下します。1回で決めず、複数回の傾向として見るのが安全です。それでも、「合格ラインのぎりぎり上」と「余裕で上」では、残りの時間の使い方が変わります。

画面の件数はテスト用アカウントのものです。
点数のあとにやることも用意しました。復習タブでは、解いた問題を1問ずつ、最後の答えで「まちがえた」「正解」「未回答」に分けます。まちがえた問題はボタンひとつで20問ずつ解き直せて、正解すると「正解」へ移ります。換算点で見つけた穴を、そのまま解き直しに回せます。
第78回で悔しい思いをした方も、いまの位置を数字で知れば、残りの時間でどの科目を先に埋めるかを決めやすくなります。点が低く出たとしても、それは「いま」の位置で、本番の結果ではありません。
まとめ
- 国試の合格基準は、120点以上(第78回は199点満点)かつ0点の科目が1科目以下。過去問8割は約159点だが、見覚えで取れた点が混ざる
- 答えを覚えた問題が増えるほど過去問の点は高く出る。勉強が進んだ証拠でもあるが、点数だけでは理解で取れた点と区別できない
- 初めて見る問題だけで正答率を出して満点に換算すると、覚えた分の上乗せを外した数字になる。本番の点を当てる証拠はなく、あくまで考え方と目安
- 自分でやるなら、解く前に見覚えをメモし、通しで解き、初見だけ数えて換算し、科目別にも見る
- 初めて見る問題は解いた瞬間に減る。使う回を決めて取っておく
- 合格ラボの模試は、組み替え(まだ解いていない問題を優先)と、初めて解いた問題だけの換算点で、この手間を画面の中で済ませられる。無料で登録して使える
出典
- 厚生労働省「第78回診療放射線技師国家試験の合格発表」および試験時間割(https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2026/siken06/about.html)
- Yahoo!知恵袋「過去問のみ10年分を4周すれば受かりますか?過去問で7〜8割」(2022年)への回答(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12272331987)
- 臨床検査技師国試の受験生アンケート(筑波大学ウェブサイト掲載・https://www.md.tsukuba.ac.jp/cnmt/Medtec/TJMS/TJMS(2)-4(kokushi).pdf)
- PT・OT・ST向け掲示板の投稿(https://www.pt-ot-st.net/index.php/bbs/detail/4436)
- 帝京大学、日本教育工学会2014年大会の発表(https://www.jsise.org/taikai/2014/program/contents/pdf/D4-3.pdf)
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
この記事で学んだことを、アプリで実践する
ブログで読めること
- - 科目ごとの攻略法と考え方
- - 合格率のデータと、その読み方
- - 勉強スケジュールの立て方
アプリでできること
- → 1問ずつ「なぜその答えになるか」を図で追える(無料は10問まで)
- → 第74回以降の過去問と模擬試験を解ける
- → 科目別の正答率が見える(全科目60%以上が目安)