国試の足切り、0点科目はどんなときに出るか
「放射線技師 国試 足切り」で出てくる記事は、「0点の科目が1科目以下」と書いて終わっています。どの科目で、どのくらいの確率で起きるのかまで書いている記事は見当たりませんでした。
第78回の出題数は、画像工学が6問、医療安全管理学が8問、放射線安全管理学と医療画像情報学が各10問。5択を当てずっぽうで選ぶと仮定すると、6問の科目が全部外れる確率は約26%です。
実測の正答率(合格ラボ利用者)で計算すると、手をつけた科目で0点になる確率は0.1%ほどです。足切りが現実になるのは、科目をまるごと捨てたときです。全科目に触れて、少ない科目は基本問題を拾います。
国試の合格基準を調べると、「総得点が120点以上で、0点の科目が1科目以下」と出てきます。ここまではどの記事にも書いてあります。でも、0点の科目って、実際どんなときに出るのかまで書いてある記事は、なかなか見つかりません。
この記事では、足切りの仕組みを確認したうえで、出題数の少ない科目で0点になる確率を計算します。先に結論を言うと、ちゃんと手をつけた科目で0点になることは、ほぼありません。 気をつけたいのは、科目をまるごと後回しにしたまま本番を迎えるケースです。
合格基準は「総得点」と「0点科目」の2つの条件
第78回(2026年2月19日)の合格基準は、厚生労働省の発表でこう書かれています。
配点を1問1点、合計199点満点とし、次の基準を満たした者を合格とする。総得点 120点以上 / 199点、0点の試験科目が1科目以下
つまり、0点の科目が1つまでなら、その科目が0点でも合格できます。2つ以上になると、総得点が120点を超えていても不合格です。
なお、199点満点なのは、第78回で午前の1問が「設問が不適切で正解が得られない」として採点から除かれたためです(第78回の公式発表)。第79回の満点と基準点は、試験のあとに決まります。
足切りは11科目すべてが対象です。第79回の施行公示に挙げられている試験科目は次のとおりです。
基礎医学大要/理工学・放射線科学/エックス線撮影機器学/エックス線撮影技術学/診療画像検査学/画像工学/医療画像情報学/核医学診療技術学/放射線治療技術学/放射線安全管理学/医療安全管理学
出題数が少ない科目ほど、0点が現実的になる
0点になりやすいかどうかは、その科目の出題数で決まります。第76回〜第78回の出題数はこうでした(国試ボーダー120点の表より)。
| 科目 | 第78回 | 第77回 | 第76回 |
|---|---|---|---|
| 医療安全管理学 | 8 | 8 | 4 |
| 画像工学 | 6 | 9 | 10 |
| 医療画像情報学 | 10 | 10 | 6 |
| 放射線安全管理学 | 10 | 10 | 9 |
出題数が最多の理工学・放射線科学は36問ですが、いちばん少ない科目は4〜6問です。6問しかない科目なら、6問ぜんぶ外すだけで0点になります。回によって科目の出題数は動きます(第76回の医療安全管理学は4問でした)。
5択を当てずっぽうで選ぶと、全部外れる確率は?
ここからは計算です。仮定は1つだけ。5択の問題を、まったくの当てずっぽうで選ぶとします(正解する確率20%、各問は独立)。このとき、n問ぜんぶ外れる確率は 0.8のn乗です。
| 出題数 | 全問外れる確率 |
|---|---|
| 4問 | 約41% |
| 6問 | 約26% |
| 8問 | 約17% |
| 10問 | 約11% |
6問の科目と8問の科目の両方を当てずっぽうで受けると、2科目とも0点になる確率は 0.8の14乗で約4.4%。足切りの条件に当たる確率が、数%あることになります。
ただし、これは「その科目をまったく勉強していない」場合の計算です。択一でない五肢複択の問題は、当てずっぽうの正解率がさらに低くなりますが、この記事では5択だけで見ています。
実際に問題を解いている人の数字で計算するとどうなるでしょうか。国試ボーダー120点で出した、合格ラボ利用者の実測の正答率を使います。
- 画像工学(第78回で6問・正答率67.5%):全問外れる確率は 0.325の6乗で約0.1%
- 医療安全管理学(第78回で8問・正答率82.1%):0.179の8乗で、100万回に1回ほど
🔴 この正答率は、全受験生の統計ではなく、自分で問題を解きに来ている合格ラボ利用者の実測です。また、各問が独立という単純な仮定での計算で、本番の確率を言い当てるものではありません。それでも、当てずっぽうの26%と実測ベースの0.1%では、桁が違います。手をつけた科目で足切りが起きにくい、という方向は読み取れます。
足切りが現実になるのは、「科目をまるごと捨てた」とき
数字を並べると、足切りの本当の形が見えてきます。
- 解き込んだ科目で、0点になることは、ほぼない(実測ベースで0.1%)
- 一度も触れていない科目では、4〜6問なら数割の確率で0点(当てずっぽうの計算)
- 2科目を捨てると、足切りに当たる確率が数%〜1割ほどになる(6問と8問なら約4.4%、4問と6問なら約11%)
足切りは「苦手だから起きる」ものではなく、「触れていないから起きる」ものです。苦手でも、ひと通り解いていれば、1問や2問は拾えます。
「出題数が少ない科目は後回し」という考え方は、勉強の順番としては合理的です。120点をどこで作るかは、出題数が多く落とし幅の大きい科目から埋めるほうが速い、というのが国試ボーダー120点の結論でした。ただし、後回しと、まったく触れないことは別です。
足切りを避けるための3つ
- 全科目に、触れておく。 本番までに、11科目すべてで過去問を何問か解いておきます。科目の優先順位の付け方は科目選択の戦略にあります
- 少ない科目は、基本問題を拾う。 4〜10問の科目なら、1〜2問取れれば0点は避けられます。深追いせず、基本的な問題を確実に取る練習をします。出題数の少ない4科目は、画像工学・医療画像情報学・医療安全管理学・放射線安全管理学の攻略記事で、毎回出ているテーマをまとめました
- 捨てるなら、1科目まで。 0点の科目が1科目までなら合格できる、というルールそのものは本当です。ただし、その科目の分の点を、他の科目で取り返す必要があります。2科目を捨てるのは、足切りの条件に自分から近づくことになります
2は、「基本的な問題が必ず出る」と保証するものではありません。出題の傾向は回によって違うので、触れた科目の数を増やす、という準備の話です。
自分がどの科目に触れていないかは、頭の中の感覚より、解いた記録で見るほうが確かです。過去問の回し方は過去問の正しい使い方に書いています。
まとめ
- 合格基準は、総得点120点以上(第78回は199点満点)かつ0点の科目が1科目以下(厚生労働省)
- 0点の科目が1つまでなら、その科目が0点でも合格できる。2科目以上は、総得点が足りていても不合格
- 足切りの対象は、第79回の施行公示にある11科目すべて
- 第76〜78回の出題数は、少ない科目で4〜10問。5択を当てずっぽうで選ぶと仮定すると、全問外れる確率は4問で約41%、6問で約26%、8問で約17%、10問で約11%
- 合格ラボ利用者の実測の正答率で計算すると、画像工学(6問)の全問外れは約0.1%。ただし全国平均ではなく、各問が独立という単純な仮定
- 足切りは「苦手」ではなく「触れていない」ときに起きる。全科目に触れ、少ない科目は基本問題を拾う
- 合格ラボは、科目ごとの解いた記録と正答率を分析タブで見られる。無料で登録して使える
出典
- 厚生労働省「第78回診療放射線技師国家試験の合格発表について」(https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2026/siken06/about.html)
- 厚生労働省「診療放射線技師国家試験の施行」(第79回の施行公示、試験科目、https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/shinryouhoushasengishi/)
- マイナビコメディカル「診療放射線技師の国家試験の詳細|合格率や難易度、対策方法まで」(https://co-medical.mynavi.jp/column/rt/kokushi-rt/):合格基準の書き方(「0点の試験科目が1科目以下」で説明が終わっている例)
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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ブログで読めること
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