機器学は、X線を作る・受け取る・保つの順に並べ直す
第78回は20問、第74〜78回は9・8・12・17・20問と、年々増えている科目です。範囲は装置の構造から品質管理まで広いのですが、グリッドは5回すべて、FPDとX線管と乳房用装置は4回出ています。
機器の知識は、X線を作る(X線管・高電圧装置)、調整する(グリッド・AEC)、受け取る(FPD・CR・I.I.)、保つ(JIS・不変性試験)の順に並びます。装置ごとの特徴は、その流れの中の役割として覚えます。
FPDの直接変換と間接変換は材料を取り違えやすく、4回続けて誤りの選択肢になりました。ブルーミングは管電圧ではなく管電流で、トモシンセシスの断層厚は振れ角が大きいほど薄くなります。
エックス線撮影機器学は、「20問の科目」になっています
第78回のエックス線撮影機器学は20問でした。第74〜78回で並べると、9問・8問・12問・17問・20問です(合格ラボの過去問データベースで数えました)。出題基準では、この科目の出題割合の目安は10%とされています。
出題基準の改善報告書では、旧「診療画像機器学」にX線撮影機器とそれ以外の内容が混在していたため、X線撮影機器に関する内容を「エックス線撮影機器学」に、それ以外を「診療画像検査学」に整理することが望ましい、とされました(第77回から適用)。数が増えた理由の説明までは書かれていませんが、過去問のうえでも、第77回から17問・20問と増えています。CT装置の性能評価や不変性試験も、この科目に入っています。
しかも、合格ラボ利用者の実測では、正答率は68.1%(803回答)で、11科目のうち下から3番目(診療画像検査学と同率)です(国試ボーダー120点の表より。全受験生の統計ではありません)。20問あって、落としやすい。取りに行く価値が高い科目です。
なお、この記事の「出題された」という話は、すべて合格ラボが持っている第74〜78回の過去問に基づきます。第74〜76回は科目名が今と違う時代の問題で、現在の科目に当てはめて分類したものです。
この記事のポイント(TL;DR)
- 機器学は 作る(X線管・高電圧装置)→ 調整する(グリッド・AEC)→ 受け取る(FPD・CR・I.I.)→ 保つ(JIS・不変性試験) の流れで整理する
- グリッドは第74〜78回の5回すべて。FPD・X線管装置・乳房用装置・JIS/品質管理は4回
- 同じ内容が何度も形を変えずに出る(CRの問題は第75回と第78回でほぼ同じ、公称最大電力は第75回と第78回で同一)
- 暗記ではなく「なぜ」で切る。ヒール効果は乳房用装置の向きにつながり、グリッド比は露出係数につながる
目次
最初に押さえる「作る・受け取る・保つ」
機器学は、装置の名前が多く、バラバラに見えます。X線管、高電圧装置、グリッド、AEC、FPD、CR、I.I.、トモシンセシス、CT、乳房用装置、歯科用装置……。
そこで、1枚のX線画像ができるまでの流れに並べます。
| STEP | 役割 | 主な装置 | 問われ方 |
|---|---|---|---|
| 1 | X線を発生させる | X線管装置 | 焦点、ヒール効果、ろ過、許容負荷 |
| 2 | 電力を送る | 高電圧装置(インバータ式) | リプル、小型化、制御方式 |
| 3 | 調整する | グリッド、AEC | 散乱線の除去、露出の自動決定 |
| 4 | 受け取る | FPD、CR、I.I. | 変換方式、補正、特性 |
| 5 | 保つ | JIS、受入試験、不変性試験 | 品質管理の運用 |
これに加えて、装置システム(乳房用・透視撮影・歯科用・トモシンセシス・骨密度測定)と、X線CT装置があります。これらは、1〜5の知識が応用された「完成品」として出ます。たとえば乳房用装置は、X線管のヒール効果(STEP 1)、AEC(STEP 3)、トモシンセシス(STEP 4の応用)がまとまった装置です。
画像の側から見た評価(MTFやDQEなど)は画像工学に、撮影条件の使い方はエックス線撮影技術学にあります。機器学は、装置の側からです。
過去5回で何が出たか
第74〜78回のエックス線撮影機器学の問題を、テーマで振り分けるとこうなります。
第78回の20問の中身は、グリッド2問、CT関連5問(三次元画像処理・不変性試験・アーチファクト・dual energy CT・マルチスライスCT)、X線管装置・制動X線・インバータ式・公称最大電力・FPD・CR・I.I.・乳房用・トモシンセシス・透視撮影・歯科用・不変性試験・液晶ディスプレイ、が各1問でした。
CT関連は、第76回が3問、第77回が2問、第78回が5問でした。CTの検査の方法は診療画像検査学ですが、CT装置の原理・性能評価・不変性試験は機器学です。
ここまでの「作る・受け取る・保つ」を押さえたら、次は問題で確かめてみましょう。 合格ラボなら、エックス線撮影機器学の過去問を科目ごとに選んで解けます。間違えた問題は「復習」タブにまとまるので、「どれを解き直すか」を自分で覚えておく必要はありません。
頻出テーマ別の攻略法
1. X線管装置
X線管は、陰極のフィラメントから出た熱電子を高電圧で加速し、陽極のターゲットに当ててX線を作る装置です。
管電流は、電極間距離の2乗に反比例します。 第74回は「管電流は電極間距離の2乗に反比例する」が正しい選択肢、第77回は「管電流は電極間距離の2乗に比例する」が誤りでした。なぜなら、陰極のまわりには電子の雲(空間電荷)ができて、あとから出てくる電子の飛び出しを妨げるからです。管電圧が低い領域(空間電荷制限領域)では、管電流は管電圧の3/2乗に比例し、電極間距離の2乗に反比例します(チャイルドの法則)。管電圧がある程度以上になると電流は飽和し、フィラメントの温度で決まるようになります。
ブルーミングは、管電流で焦点が広がる現象です。 第74回は「ブルーミング効果とは、管電圧によって焦点寸法が変化する現象」が誤り、第77回は「ブルーミング現象は管電流条件で実効焦点寸法に影響する」が正解でした。電子同士は反発するので、管電流が大きくなると、電子のビームが広がって焦点が大きくなります。電圧と電流を入れ替えた選択肢が、5回で2度、形を変えて出ています。
ろ過が増えると、X線は硬くなり、量は減ります。 第74回の「総ろ過を増加させたときの変化」の正解は「X線量は少なくなる」で、ほかの選択肢が誤りです。
| 誤りの選択肢 | 実際は |
|---|---|
| 半価層は薄くなる | 厚くなる |
| 線質指標は低くなる | 高くなる |
| 実効エネルギーは低くなる | 高くなる |
| 被写体コントラストは高くなる | 低くなる |
ろ過は、エネルギーの低い(軟らかい)X線を吸収して取り除きます。そのため、残ったX線は硬くなり、半価層・実効エネルギーは上がり、量は減ります。硬いX線は物質間の吸収の差が小さいので、被写体コントラストは下がります。4つの誤りは、すべて「硬くなる」ことの裏返しです。第78回には「総ろ過は、X線が透過する部分の取り外しできない物質による線質等価ろ過」が誤り、という問題も出ました。取り外しできないものは固有ろ過で、総ろ過は付加ろ過(取り外せるもの)も含みます。
X線の発生は、第78回に「制動X線の発生」として出ました。正解は「発生強度はターゲットの原子番号に比例する」です。誤りは次のものでした。
- 最短波長は管電圧に比例する → 反比例する
- X線強度は管電流の2乗に比例する → 管電流に比例する
- X線管装置の発生効率は約10% → 約1%で、残りは熱になる
焦点外X線は、第74回に出ています。画像のコントラストを低下させ、陽極の全体から発生します。回転陽極X線管の短時間許容負荷は、第76回に計算問題として出ました。陽極回転数を2.5倍、焦点軌道直径を1.2倍にしたとき、許容負荷の倍数は約1.7倍です。許容負荷が回転数と軌道直径の積の平方根で増えるとすると、√(2.5×1.2)=√3=約1.7になります。
2. 乳房用X線装置とヒール効果
乳房用X線装置は、第74・76・77・78回に出ています。この装置は、X線管の知識が応用された例です。
ヒール効果とは、X線管の陽極側と陰極側で、X線の強度が違うことです。ターゲットの斜面から出るX線は、陽極側へ向かうものほど、ターゲットの中を長く通ります。長く通ると吸収が増えるので、陽極側は強度が弱く、線質は硬くなります。第77回は「線質は陽極側に比べ陰極側で軟線が多い」が正しい選択肢でした。ヒール効果は、ターゲット角度に影響されます(第77回の「ターゲット角度に影響しない」は誤り)。
乳房では、胸壁側が厚く、乳頭側が薄い。厚い側には多くのX線が必要です。そこで、強いX線が出る陰極側を、胸壁側に向けます。第74回の「胸壁側に陰極が配置されている」が正解で、第77回の「ヒール効果を利用し、乳房全体の線量均一化を行っている」が正解でした。ヒール効果という「欠点」を、装置の向きで「利点」に変えているわけです。
乳房用装置は、材料の取り違えを狙った選択肢が多くあります。
| 部位 | 材料 | 誤りの選択肢の例 |
|---|---|---|
| 放射窓 | Be(ベリリウム) | 放射窓にMo(第74回)、タングステン(第78回)、Rh(第77回) |
| 付加フィルタ | Mo・Rhなど | 付加フィルタにBe(第74回) |
| ターゲット | Mo・Rh・Wなど | 陽極ターゲットにAl(第77回) |
放射窓は「X線を通す窓」なので、X線を吸収しにくい軽い元素(Be)です。ろ過に使うフィルタ(Mo・Rh)やターゲットとは役割が別です。
その他の出題は次の通りです。
- 第76回:拡大撮影の拡大率は2以下。定位装置を用いる場合を除き、焦点皮膚間距離は60 cm以上
- 第78回:自動露出機構を備える(乳房厚が変わっても撮影条件は一定、は第76回で誤り)
- 第74回の誤り:拡大撮影用の焦点サイズは0.3 mm程度(拡大撮影用はもっと小さい)。第77回の誤り:焦点寸法は1〜2 mmが標準
3. 高電圧装置(インバータ式)
X線管に高電圧を送るのが高電圧装置です。現在の主流はインバータ式で、第74・75・77・78回に出ています。
インバータ式の利点は、小型で、管電圧の波形がなめらかなことです。 第77回は「単相電源で三相X線装置並みの線質を得られる」が正解。第78回は、小型化できる、管電圧の立ち上がりが速い、管電圧・照射時間を高い精度で制御できる、がいずれも正しい選択肢でした。
なぜ小型化できるのか。変圧器の大きさは、周波数が高いほど小さくできるからです。インバータは、電源の交流を一度直流にし、それを高い周波数の交流に変換して変圧器に送ります。そのため、鉄心の小さな高周波変圧器が使えます。リプル(管電圧の波形のゆれ)も、高周波では平滑しやすくなります。第74回の「管電圧のリプルは、高電圧ケーブルが長いほど小さい」も正解で、ケーブルの静電容量が波形をならす効果があります。
ただし、周波数を上げれば何でも良くなるわけではありません。第74回では、「周波数が高いほど電力変換効率は高い」「周波数が高いほど変圧器の鉄損が減少する」は誤りでした。
制御の方式も出ます。第74回の「共振形装置は、チョッパのパルス幅を変化させて管電圧を調整する」と、第77回の「非共振形装置の管電圧制御はインバータ周波数を変化させる」は、どちらも誤りでした。共振形は周波数で、非共振形はパルス幅で制御します。入れ替えた選択肢です。第78回は「テトロード管で制御する」が誤りでした(インバータ式は、半導体のスイッチング素子を用います)。
公称最大電力の計算問題は、第75回と第78回に、まったく同じ数値で出ています(管電圧100 kV、管電流800 mA、撮影時間0.1 s、管電圧リプル百分率12%のインバータ式装置で、正答は76.0 kW)。同じ問題が繰り返されるタイプなので、一度解き方を通しておくと、そのまま取れる可能性があります。
4. グリッドと自動露出制御
グリッドは、第74〜78回の5回すべてに出ています。
グリッドは、散乱線を吸収する箔と、X線を通す間隔を、交互に並べたものです。出題されるのは、特性を表す指標の式です。
記号は、一次X線透過率(Tp)、散乱X線透過率(Ts)、全X線透過率(Tt)、箔の高さ(h)、箔の間隔(D)、箔の厚さ(d)です。
- グリッド比=h ÷ D(箔が高く、間隔が狭いほど高い)
- 選択度=Tp ÷ Ts(一次線を通し、散乱線を止める力)
- グリッド露出係数=1 ÷ Tt(グリッドを使うと受像量が減るので、露出を何倍にするか)
- グリッド密度=1 ÷ (D+d)(単位長さあたりの箔の本数)
第75回は、これらの式の組合せを問い、正解は「露出倍数 ― 1÷Tt」、誤りは「グリッド比 ― h÷d」「グリッド密度 ― h÷(D+d)」などでした。第77回の「グリッド露出係数は全放射線透過率の逆数」は正解、第76回の「グリッド露出係数は一次X線透過率の逆数」は誤りです。一次ではなく、全です。グリッドを通ったあとのX線全体(一次線+散乱線)の割合が減るぶん、露出を増やして補うからです。
なぜ、比を上げると露出係数が上がるのか。 比を上げる(箔を高く、間隔を狭くする)と、斜めに入る散乱線をより多く止められます。ただし、同時に、一次線の一部も吸収します。すると、全透過率Ttが下がり、その逆数である露出係数は上がります。第76回の「グリッド密度が同じであれば、グリッド比が大きいほどグリッド露出係数は大きい」が正解でした。散乱線除去と被ばくは、引き換えの関係です。
グリッドの種類も出ています。第77回は「平行グリッドには使用距離限界がある」が正解でした(箔が平行なので、周辺部で一次線を吸収してしまい、焦点からの距離が限られる)。第78回は、静止・集束・平行・クロスの各グリッドの説明のうち、「テーパグリッドは吸収はくの高さが実中心線に近づくにつれて減少する」が誤りでした。
また、第74回には仮想グリッド処理が出ています。実物のグリッドを使わず、画像処理で散乱線を推定して取り除くもので、「散乱線起因の画像のコントラスト低下を改善する」が正解、「原画像に散乱線推定画像を加算して作成する」は誤りです(推定した散乱線は差し引く)。
自動露出制御(AEC)は、検出器に入ったX線量が目標に達したところで、照射を止める仕組みです。第76回は、「始業点検時にAECを用いたX線撮影でmAs値が通常よりも大きくなった。原因は?」の正解が照射野を狭くしたでした。照射野を狭くすると、散乱線が減ります。検出器に入る量が減るので、目標に達するまで時間がかかり、mAsは大きくなります。
5. FPD・CR・I.I.
受像系は、FPDが第74・76・77・78回、CRが第74・75・78回に出ています。
FPD(フラットパネルディテクタ)は、X線を電気信号に変えて、TFT(薄膜トランジスタ)のスイッチングで読み出します(第74回・第78回の正解)。X線を電気信号に変える方式が2つあります。
- 直接変換方式:X線を、a-Se(アモルファスセレン)などの光導電体で、そのまま電荷に変える
- 間接変換方式:X線をシンチレータで光に変え、フォトダイオードで電荷に変える
この材料の取り違えが、4回続けて誤りの選択肢になりました。
- 第74回:直接変換方式にはホトダイオードが用いられる(誤り)
- 第76回:間接変換方式ではa-Seが用いられる(誤り)
- 第77回:直接変換方式ではX線をシンチレータで光に変換する(誤り)
- 第78回:直接変換方式では輝尽性蛍光体が用いられる(誤り)
「直接は、光を経由しない」と覚えると、シンチレータ・フォトダイオード・輝尽性蛍光体(CRの材料)はすべて直接変換に入らない、と切れます。
補正も出ます。第74回と第76回は、「オフセット補正は、均一なX線を照射して行う」が誤りでした。オフセット補正は、X線を当てない状態の信号(暗電流など)を差し引く補正です。均一なX線を当てて行うのは、素子ごとの感度ばらつきをそろえるゲイン補正です(第76回の正解)。第77回は「素子間の感度補正が必要である」が正解でした。
FPDの特性では、第77回に、「ダイナミックレンジはアナログシステムと同等」が誤り、「パルス照射による動画撮影が可能」「X線検出から信号出力までリアルタイムに行える」が正解。第78回は、「量子検出効率はCRに比べ低い」が誤りでした(FPDのほうが高い)。
CR装置は、第75回と第78回に、ほぼ同じ文面で出ています。正しいのは「輝尽性蛍光体をX線検出器として用いる」だけで、誤りは次の3つでした。
- フェーディング現象によって画質が向上する(フェーディングは、蓄積した信号が時間とともに減っていく現象で、画質は低下する)
- リアルタイムに画像を観察することができる(読み取りの工程が必要)
- 輝尽発光と輝尽励起光の波長は近い方が読み取り精度が高い(励起光と発光が近いと分離できない。離れているから、発光だけを取り出せる)
第74回には、「両面集光方式は片面集光方式よりも輝尽発光の集光効率が高い」が正解として出ています。
I.I.(イメージインテンシファイア)は、第77回に性能評価項目として出ました。正解は変換係数と量子検出効率です。第78回は、「入力窓にはアルミニウムが用いられている」「X線変換部、電子パターン変換部、出力像変換部からなる」が正しい選択肢でした。
6. トモシンセシスとCT
トモシンセシスは、第74・77・78回に出ています。X線管を動かしながら、角度を変えて複数回撮影し、画像を再構成して、目的の断面を取り出す方法です。
誤りの選択肢には、同じ取り違えが繰り返されています。
- 「断層厚は振れ角が大きいほど厚くなる」(第74回・第77回で誤り)→ 薄くなる。振れ角が大きいほど、目的の断面以外の構造が大きくぼけるので、ピントの合う範囲が薄くなります
- 「1回の撮影で1枚の断層画像」(第77回で誤り)→ 1回の撮影で複数の断層面が得られる(第74回の正解)
- 「目的断面を幾何学的にぼかす」(第77回で誤り)→ 目的断面以外をぼかす
第78回は、「step and shoot方式では一定の角度ごとにX線管を止めて撮影する」が正解でした。誤りは、「振り角は120度以上」「断層厚は振り角に依存しない」「循環器用X線撮影装置で用いられる」などです。第77回の「FPDを用いた断層撮影」は正解、「乳房用X線装置のみに搭載されている」は誤りです。
X線CT装置は、第76〜78回に出ています。第78回は、マルチスライスCT、dual energy CTの収集方式、アーチファクト、三次元画像処理のほか、CTの不変性試験の項目で「アキシャルスキャンの再構成スライス厚」が正解でした(架台チルト・散乱線測定・z軸方向の空間分解能・低コントラスト分解能は誤り)。第77回の歯科用コーンビームCTでは、「幾何学的ひずみ補正が必要である」が正解でした。
7. JIS・受入試験・不変性試験
品質管理は、第75・76・77・78回に出ています。ここは、言葉の定義で切ります。
| 試験 | いつ・何のため |
|---|---|
| 受入試験 | 新規に機器を設置したとき。契約した仕様を満たしているかを確認 |
| 不変性試験 | 継続的に。基礎値と比べて、性能の変化を早期に発見 |
- 第77回:医療機器の品質管理で正しいのは「新規の機器設置時に受入試験を実施する」。誤りは、不変性試験を納入業者が行う、日常点検は始業点検のみ、機器設置前に現状試験を実施する、など
- 第78回:不変性試験で正しいのは「機器の構成要素の性能変化の早期発見をする」。「契約仕様を満たしているかを確認する」は、受入試験の目的です
第76回は、不変性試験の運用(基礎値を設定する時期、最初の不変性試験を行う時期、結果の保存年数)を問い、誤りは「不変性試験の基礎値は受入試験時に設定する」でした。この辺りは、JISの条文の暗記に近いので、過去問で数字ごと確認するのが早いところです。
JISの基本性能は、第75・76回に出ています。第75回は、医用X線装置の基本性能で「患者に危害を加える恐れがある部分の操作はデッドマン形制御でなければならない」が正解でした(手を離したら止まる形)。第77回には、医薬品医療機器等法のクラス分類(MRI装置はクラスⅡ)も出ています。
よくある間違い
「ブルーミングは管電圧で焦点が変わる現象」
管電流です。電流が大きいと電子同士が反発して、ビームが広がります(第74回で誤り、第77回で正解の形)。
「直接変換にシンチレータ(フォトダイオード・輝尽性蛍光体)が使われる」
直接変換は、光を経由しません。4回続けて、誤りの選択肢になりました。
「オフセット補正は、均一なX線を当てて行う」
ゲイン補正の説明です。オフセット補正は、X線を当てない状態の信号を引きます(第74・76回)。
「トモシンセシスの断層厚は、振れ角が大きいほど厚い」
薄くなります(第74・77回で誤り)。
「グリッド露出係数は、一次X線透過率の逆数」
全X線透過率の逆数です(第76回で誤り、第77回で正解の形)。
「総ろ過が増えると、実効エネルギーは低くなる」
ろ過は軟らかいX線を取り除くので、高くなります(第74回)。
効率的な勉強の順序
- 全体の流れ(この記事の最初の図)で、装置の居場所を決める
- X線管装置:焦点、ヒール効果、ろ過。ここが、乳房用装置やグリッドの前提
- 高電圧装置(インバータ式)
- グリッド(式を通す)とAEC
- FPD・CR・I.I.(直接/間接の取り違えを潰す)
- 乳房用装置・トモシンセシス・CT・歯科・透視(1〜5の応用として)
- 品質管理(受入試験と不変性試験の違い)
- 過去問で確認:同じ問題が形を変えずに出ているので、解いた記録を見直す
科目全体の優先順位は科目選択の戦略に書いています。出題数が増えている20問の科目は、国試ボーダー120点の考え方でも、早めに手をつけたい科目です(理工学・放射線科学の次の位置づけ)。物理の基礎(光電効果・コンプトン散乱)は放射線物理学で整理しておくと、X線管やグリッドの「なぜ」が読みやすくなります。
合格ラボでエックス線撮影機器学を効率よく学ぶ
機器学は、「なぜそうなるか」を一度つなげれば、聞かれ方が変わっても切れる科目です。ただ、20問ぶんの装置の特徴を本番まで保つには、解き直しのタイミングが要ります。
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まとめ
- エックス線撮影機器学は第78回で20問(第74〜78回は9・8・12・17・20問)。出題基準の目安は10%で、CT装置の性能評価・不変性試験も含む
- 流れは 作る(X線管・高電圧装置)→ 調整する(グリッド・AEC)→ 受け取る(FPD・CR・I.I.)→ 保つ(品質管理)
- グリッドは5回すべて。FPD・X線管装置・乳房用装置・JIS/品質管理は4回
- ヒール効果は、乳房用装置の「胸壁側に陰極」につながる。ブルーミングは管電流
- グリッド比を上げると、散乱線は減るが全透過率が下がり、露出係数(1÷Tt)が上がる
- FPDの直接変換は光を経由しない。取り違えが4回続けて誤りの選択肢になった
- 受入試験(新設時・仕様確認)と不変性試験(継続・性能変化の早期発見)は目的が違う
- 画像の評価は画像工学、情報の流れは医療画像情報学で整理する
出典
- 厚生労働省「診療放射線技師国家試験出題基準」(令和7年(第77回)の試験から適用。https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001102581.pdf):エックス線撮影機器学の項目(X線源装置、高電圧装置、映像装置、画像処理装置、関連・付属機器、装置システム、X線CT装置、品質・安全管理)、出題割合の目安(10%)
- 第74〜78回診療放射線技師国家試験(合格ラボの過去問データベース。問題数・出題内容はここで集計)
過去問に丸はついたのに、「で、なぜ?」が残る—— あれを残したままだと、聞かれ方を変えられた瞬間に止まります。覚えた量が足りないのではなく、「なぜ」が一段繋がっていないだけです。
合格ラボでは毎週日曜の夜、国試の1問を「なぜそうなるか」まで分解した【今週の1問】を無料で公開しています。筆者(田爪・元技師)が1本ずつ手作りしていて、公開はその週だけです。
聞かれ方を変えられても手が止まらない状態を、週1問から。
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
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ブログで読めること
- - 科目ごとの攻略法と考え方
- - 合格率のデータと、その読み方
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アプリでできること
- → 1問ずつ「なぜその答えになるか」を図で追える(無料は10問まで)
- → 第74回以降の過去問と模擬試験を解ける
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