過去問題集、時期でどう選ぶか
過去問題そのものは厚生労働省が無料でPDF公開しています。有料の教材で買っているのは、分野別・出題年別への分類、解説、模擬問題、紙で解ける形の4つです。
分野別(精選問題)は科目を絞って積み上げたい初期に、出題年別は本番どおりの配点感覚をつかみたい直前期に向いています。1冊で両方兼ねる教材もあります。
自分がどの科目で実際に落としているかは、紙の教材だけでは見えません。合格ラボ利用者の実測(n=14,839)では理工学・放射線科学が出題数最多かつ正答率最低(65.1%)でした。
過去問は無料で公開されている。では教材の何にお金を払うのか
診療放射線技師国試の過去問題は、厚生労働省が試験問題・正答をPDFで無料公開しています(公共データ利用規約 第1.0版)。つまり問題そのものは、教材・アプリ・合格ラボのどれにとっても同じ土俵にあります。
つまり「過去問を手に入れるため」に教材を買う必要は、本当はありません。ではオーム社やメジカルビュー社の教材を買うとき、実際は何にお金を払っているのか。ここを先に切り分けておくと、教材選びで迷いにくくなります。
- 分類 — 過去10年分をどの科目・単元の問題か整理する作業
- 解説 — 正解だけでなく「なぜその答えになるか」の説明
- 模擬問題・紙面 — 過去問にはないオリジナル予想問題や、紙に書き込める形
元・診療放射線技師として自分が受験生だったころも、このあたりを混同したまま「とりあえず問題集を買う」と選んでいました。何を買っているかがわかると、比較の軸がぶれなくなります。
オーム社とメジカルビュー社、教材の構成を比較する
実際に出版社の公式ページを確認できた範囲で、代表的な3冊の構成を並べます。確認できなかった項目は「記載なし」としています。他社を劣っていると決めつける意図はなく、公開情報の差です。
| 教材 | 出版社 | 収録年数 | 構成 | 解説 | 模擬問題 |
|---|---|---|---|---|---|
| 合格!Myテキスト | オーム社 | 過去10年分 | 過去問データベース+合格テキスト+模擬問題(精選問題と出題年別の2パターン収録) | 出題基準に沿った解説テキストあり | あり(実力を試す模擬問題付き) |
| 完全対策問題集 —精選問題・出題年別— | オーム社 | 過去10年分 | 第I部:科目別精選問題/第II・III部:出題年別問題 | 「各問題に詳しくていねいな解説」と明記 | 記載なし |
| 重要問題集 | メジカルビュー社 | 過去7年間の頻出事項を分析(掲載は過去問約3割+オリジナル問題約7割) | 15科目構成、要点解説+「解答へのショートカット」 | 要点を押さえた解説あり | 記載なし |
補足しておきたいのは、メジカルビュー社『重要問題集』は確認できた版が2017年発行で、出版社の商品ページ上では品切れ表示になっていたことです。改訂版の情報は同ページには見当たりませんでした。買う前に、書店や出版社サイトで最新の在庫・改訂状況を確認することをおすすめします。
一方でオーム社の2冊は年版ごとに改訂されている定番シリーズで、直近も2026〜2027年版が発売されています。
精選問題と出題年別、時期でどう使い分けるか
「分野別か、出題年別か」は好みの問題ではなく、対策のどの時期にいるかで向き不向きが変わります。
- 分野別(精選問題)が向いている時期 — 「理工学だけ」「治療技術学だけ」と科目・単元を絞って、弱いところから積み上げたい対策初期
- 出題年別が向いている時期 — 実際の回・年度どおりに解いて、制限時間内での配点感覚や科目をまたいだ時間配分をつかみたい直前期
オーム社の『合格!Myテキスト』はこの2パターンを1冊に収録しているため、時期をまたいで使い続けられる設計です。『完全対策問題集』は科目別と出題年別を章立てで分けており、どちらの使い方も可能ですが、どちらか一方を主目的に据えるなら目次で確認しておくと迷いません。
過去問そのものの使い方(周回のさせ方・復習のタイミング)については過去問の正しい使い方で別途まとめています。
選ぶときに見る軸を絞る
比較サイトの多くは軸をたくさん並べますが、事実として埋まる軸は多くありません。実際に確認できたのは次の5つです。
| 見る軸 | 何を確認するか |
|---|---|
| 収録年数 | 過去何年分の問題を収録しているか(オーム社の2冊は過去10年分。重要問題集は収録年数ではなく、過去7年間の頻出事項を分析した構成) |
| 分野別か出題年別か | 苦手潰しに向く分類か、本番形式の演習に向く分類か |
| 解説の詳しさ | 「なぜその答えか」まで書かれているか、要点のみか |
| 模擬問題の有無 | 過去問以外のオリジナル予想問題が付くか |
| 改訂の頻度 | 年版ごとに改訂されているか、最新の出題基準に対応しているか |
「模試の有無」や「解説の詳しさ」は、実際に書店で1問分だけでも目を通して自分に合うかを確かめるのが確実です。ここは商品ページの記述だけでは判断しきれない部分です。
紙の教材でわからないこと ── 自分がどこで落としているか
ここまでの3冊は、いずれも「教材としてよくできている」ものです。ただし、どの教材にも共通してわからないことが1つあります。自分が実際にどの科目で、どれくらい落としているかです。
紙の問題集は、解いた結果をあなた自身が採点し、あなた自身が「なんとなく理工学が苦手な気がする」と主観で判断するしかありません。
合格ラボに蓄積されている解答データ(n=14,839)では、理工学・放射線科学が出題数最多でありながら正答率は最低(65.1%、全11科目の加重平均は約70%)という結果でした。
🔴 これは全国平均ではありません。 あくまで合格ラボ利用者という、自分で問題を解きに来ている人たちの実測値です。とはいえ「出題数が多い科目ほど、正答率も低くなりやすい」という傾向自体は、紙の教材を何周しても自分では見えにくい情報です。
科目ごとの出題数と正答率を掛け合わせた詳しい分析は国試ボーダー120点、どこで作るかにまとめています。理工学・放射線科学そのものの攻略の考え方は放射線物理学の勉強法、科目をまたいだ優先順位のつけ方は科目選択の優先順位の決め方で解説しています。
実際にどんな問題が出ているかを見たい場合は、第78回の問題一覧(登録なしで読めます)で番号順に確認できます。
まとめ
- 過去問題そのものは厚労省が無料公開している。有料教材で買っているのは「分類」「解説」「模擬問題・紙面」の3つ
- 確認できた範囲で、オーム社の2冊(合格!Myテキスト・完全対策問題集)は過去10年分を収録し、年版ごとに改訂されている
- メジカルビュー社『重要問題集』は確認できた版が2017年発行で、出版社ページ上では品切れ表示だった。最新の在庫・改訂状況は購入前に要確認
- 分野別(精選問題)は対策初期、出題年別は直前期の演習に向いている
- 紙の教材だけでは「自分がどの科目で落としているか」は見えない。合格ラボの実測では理工学・放射線科学が出題数最多かつ正答率最低(65.1%、全国平均ではない)
この記事を書いた人
田爪 大智
元・診療放射線技師(熊本で臨床経験)→ Webエンジニアに転身して独立。
第一種放射線取扱主任者。
1問を理解するのに2時間かかっていた経験から、腹落ちまでの時間を数分に縮める学習法を追求。
放射線技師の国試対策アプリ「合格ラボ」を一人で開発中。
診療放射線技師向けの業界メディアも作っています → tazume-medflow.jp
合格ラボ利用者の声
「暗記しなきゃという呪縛から解放されました」— 既卒・再受験のAさん
「勉強の順番があってありがたかった」— 新卒Bさん
この記事で学んだことを、アプリで実践する
ブログで読めること
- - 科目ごとの攻略法と考え方
- - 合格率のデータと、その読み方
- - 勉強スケジュールの立て方
アプリでできること
- → 1問ずつ「なぜその答えになるか」を図で追える(無料は10問まで)
- → 第74回以降の過去問と模擬試験を解ける
- → 科目別の正答率が見える(全科目60%以上が目安)